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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン35 家紋町の戦い(前)
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届くより先に、その対象となったカードが表を向く。

「……トラップ発動、魔法の筒(マジックシリンダー)
「しまっ……!」

 八卦 LP1000→0

 あまりにも有名、あまりにも古参。攻撃を無効にし、その攻撃力分のダメージを与える、シンプルゆえにいつの時代も引導火力足りうる攻防一体のバーンカード。すでに限界寸前な少女のライフでは、この罠を回避できない。
 唇を噛んでうつむく少女の腕で、デュエルディスクの数字が減っていく。その変動がようやく止まったのは、表示された数字が0になった時だった。ゆっくりと倒れていくその背中に、男がマスク越しに賞賛とも慰めともつかない言葉をかける。

「子供の割にはよく戦った。そこで休んでいるがいい」
「すみません、竹丸さん……」

 謝罪の言葉を最後に、少女の意識は途切れた。
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