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レーヴァティン
第百七十八話 アルプスとドナウ川その二

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「することはな」
「絶対に駄目だな」
「本当にそれで終わるからな」
「人生自体がな」
「だからな」
「こちらの世界では相手は一人だな、しかしな」
「そのお一人にか」
「俺はあちらの世界と同じ様にする」
「相手の人がもてばいいな」 
 久志は英雄のその言葉にやがて彼が巡り合うかも知れない相手の人に対して心からこう思ってその思いを言葉に出した。
「それを祈るぜ」
「そうか」
「徳川家斉公か小林一茶さんか」
「それか伊藤博文公か」
「そうした人か、けれど俺はな」
「違うな」
「今話している通りにな」
 実際にというのだ。
「相手は一人でお前程な」
「求めないか」
「ああ、というかお前はまた別格だな」
 まさにというのだ。
「そっちもな」
「自分でもかなりと思うがな」
「ああ、けれど俺はな」
 久志は自分のことを話した。
「そのお前とは違ってな」
「相手の娘とか」
「二人で家庭持ってるさ」
「寵妃も置かないか」
「ああ、そうした相手もな」
「いないか」
「っていうかそんな爛れた相手の人置けるか」
 これが久志の返事だった。
「歴代のフランス王は置いていたらしいけれどな」
「アンリ四世もルイ十四世もルイ十五世もな」
「それでそうした王様の時にフランスは栄えるんだな」
「ジンクスとしてある様だな」
「それが皇帝でも大統領でもな」
「その様だな」
 イギリスは女王の時に栄えるジンクスがあるというがフランスではそうであろうか、あのナポレオンにしても愛人がいた。
「どうやら」
「変なジンクスだな、けれどな」
 久志はどうかという顔で英雄に返した。
「俺はフランス王でもないしな」
「寵妃は置いていないか」
「勿論愛人もな」
 そうした相手もというのだ。
「いないからな」
「大奥も持っていないか」
「ハーレムとか後宮もな」
「完全な一夫一妻か」
「そうだよ、やっぱり俺はな」
 どうしてもというのだ。
「他の人はな」
「いいか」
「ああ、それでその彼女のこともな」
「話すか」
「これからな、こっちも色々あったからな」
 西の浮島でもというのだ。
「そのことを話すな」
「ではな」
「じゃあはじめるな」
 その話をと言ってだった。
 英雄に実際にその話をはじめた、その話はというと。
 地中湖沿岸を完全に手中に収めた久志が率いる帝国は暫くは内政に専念した、そうしてその内政が一段落つくと。
 久志はローマの己の宮殿で仲間達に言った。
「内政も落ち着いたしな」
「それで、ですね」
「またな」
「戦ですね」
「ああ、今度はな」
 英雄は順一に応えて話した。
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