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どんな困難も
第一章

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               どんな困難も
 山中亜希には致命的な弱点がある。
 とにかく運がないのだ、その運のなさは壮絶ですらあった。神社でおみくじを引くと。
「またなの?」
「また大凶だったの」
「そうよ」
 一緒にいる友人達に言う、背は一六六程で肉感的なボディをしている。特に胸が目立つ。眉は太めで濃く二重の目は大きくぱっちりとしている。赤い唇が奇麗で黒がかった茶色の髪はショートにしている。
「これがね」
「亜希ちゃんよく大凶引くわね」
「というかいつも引くわね」
「実は大吉よりも少ないっていうのに」
「よく引くわね」
「それで実際にね」
 ただ引くだけでなくというのだ。
「私に起こることってね」
「いきなり上から鳥のうんちが落ちてきて頭にかかったり」
「車が通った水溜まりの泥がかかったり」
「お財布から小銭落としたり」
「知らない人に間違えられて因縁かけられたりよね」
「そんなことばかりで」
 とにかくというのだ。
「運がないのよね」
「それも致命的な位に」
「そこまでよね」
「亜希ちゃんって運ないわね」
「本当に」
「何でもね」
 亜希はさらに言った。
「占い師の人、人相見の人に見てもらったら」
「どうだったの?」
「何て言われたの?」
「もう生まれつきね」
 それこそというのだ。
「不幸が山みたいに襲って来る」
「そうした星の下にいるの」
「とにかく運がないって言われてたの」
「そう言われたのよ、やれやれよ」
 大凶のおみくじを見つつ言う。
「全く、運が悪いってね」
「嫌よね」
「もうそれだけで」
「本当にね。実際生まれてからもう運がないことだらけよ」
 物心ついた頃からだった、このことは。
「やれやれよ」
「それじゃあ今度のデートも」
「どうなるか」
「デートの時もね」
 この時もというのだ。
「やっぱりね」
「いつもよくないことが起こる」
「そうだっていうのね」
「通り雨に遭ったりね」
 それもあるというのだ。
「自動販売機でジュース買ったらおつり出なかったり」
「道歩いてたら犬に吠えられたり」
「そういうのばかりよね」
「だからね」
 デートもというのだ。
「どうなるか」
「何もなかったらいいけれど」
「一応お祓いしてもらう?」
「お守りとかお経持って」
 神仏に頼んでというのだ。
「あと十字架もね」
「天理教のお米も持って行く?」
「そういうの持っていったらね」
「流石に大丈夫でしょ」
「そうね、困った時の神頼みもして」
 亜希もそれはと頷いた。
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