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母の心配
第二章
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「そうしたわよ」
「その時家でそんなこと言ってたわね」
 まだ雅子は小学生だったがその時のことは覚えているのだ。
「そうだったわね」
「ええ、それであんたもなのね」
「勉強は続けて」
 学校のそれをというのだ。
「それでね」
「大学はそっちなのね」
「そうするわ」
「いや、雅子が特賞なんてね」
 母はその彼女に素直に喜んでいた。
「よかったわ、将来漫画家でデビューしたら」
「それでなの」
「お母さんも嬉しいわ。やっぱり娘が二人共しっかり働いてくれたら」
 それでというのだ。
「それで充分だから」
「そうなのね」
「優子も頑張ってるし雅子もね」 
 二人共というのだ。
「頑張ってね」
「ええ、そうするわ」
 雅子は母に笑顔で応えた、そうして高校時代は実際に連載を持たず短編を描きながら真面目に学園生活を過ごし。
 大学に進学してそこで連載を持った、その本格デビューに母は父と共に喜んで結婚していた優子と作曲家という彼女の夫と生まれたばかりの孫娘も呼んで家でお祝いをした、食卓に寿司やローストビーフやケーキが並び。
 母は娘にパソコンで漫画を描く道具一式をデビュー祝いにプレゼントして言った。
「これから頑張ってね」
「ええ、大学に通いながら卒業してもね」
「漫画描いていくのね」
「目標はベルサイユのあの方だから」
「それはまた大きいわね」
 母もそれを聞いて驚いた。
「アニメに宝塚になの」
「目指すわ、歴史ものだけじゃなくて色々なジャンルの漫画をどんどん描いてね」
 そうしてというのだ。
「凄い漫画家になるわ」
「それは凄いわね、けれどね」
 それでもとだ、母は娘に言った。
「雅子ならそこまでいけるわ」
「そうだな、雅子は天才だしな」
 父の実篤も言ってきた、職業は普通のサラリーマンだ。
「それじゃあな」
「ええ、本当にあの人を目指してね」
 雅子は強い声で両親に答えた。
「描いていくわ、それで単行本はいつもお父さんとお母さんにも読んでもらってお姉ちゃんにもね」「私にもなの」
「お義兄さんにもね」 
 彼女の夫の和夫、うっすらと顎髭があり黒髪を長くした細面で長身の彼に言った、アニメの曲の作曲家として忙しい身だ。
「読んでもらって法子ちゃんは特にね」
「うちの娘生まれたばかりだよ」
 義兄が彼女に笑って言った。
「まだ字読めないよ」
「それでもですよ」
「読者にだね」
「大きくなったら読んでもらうってことで。それも第一の」
 そこまでのというのだ。
「読者になってもらいたいです」
「そうなんだね」
「私これからどんどん描いていきますから」
「これからはですね」
「はい、面白い皆が楽しめたり感動出来る漫画を描いていきます」
 雅子は明るい声で言った、そうし
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