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星河の覇皇
第七十六部第一章 動きはじめる両軍その四十七
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「動きたいな」
「暗殺はしませんが」
「彼に対抗したいな」
「はい、そう考えていますが」
 謀略は使わないがというのだ。
「是非です、しかしですね」
「時には待つことも戦略だ」
「そういうことですね」
「軍備を整えるのも結局だ」
「時を待つということで、ですね」
「待つということだしな」
 そう解釈出来るというのだ。
「だからだ」
「彼に何も出来なくてもですね」
「そして彼がいなくなることを待つこともだ」
「戦略ですね」
「例えばユーゴスラビアの独立派は待った」
 二十世紀東欧にあった国だ、その中に多くの民族を抱え民族問題が最大の頭痛の種であった国である。
「大統領であり完全に統治していたチトーが死ぬのをな」
「それから独立運動が起こっていますね」
 タンホイザーも応えて言う。
「あの国では」
「そして実際に各国が独立してだ」
「ユーゴスラビァ自体がなくなりましたね」
「そうなった」 
 ほぼ全ての国が独立してだ、結果としてユーゴスラビアという国は地球上に存在しなくなったのである。
「チトーがいなくなりな」
「ユーゴスラビアを一人で統合していた」
「そう言って過言ではなかった」
 二つの文字、三つの宗教、四つの言語、五つの民族、六つの共和国、七つの国家、八つの国境と呼ばれていた国だった。しかしそれを一人のチトーが統治してユーゴスラビアという国を国家にしていたのだ。
「チトーは偉大な政治家だった」
「抜群の統率力、政治力を持っていましたね」
「胆力もあった」
 ヒトラーが攻めて来て屈せずパルチザンを指揮して戦い抜いた、スターリンの介入も刺客を送ると恫喝して退けた。そうした人物だったのだ。
「そのチトーがいる限りはだ」
「各民族の独立派達もどうしようもなかった」
「それと同じだ、我々もだ」
「あの長官殿が国防省にいる限りはですか」
「強敵であり続け連合の軍事を万全にしていくことはな」
「見ているしかないですね」
「そうだ、しかし彼がいなくなれば」
 八条より劣る人物が国防の責任者になればというのだ。
「それでだ」
「連合に隙が出来ますね」
「その間にマウリアに工作拠点を設けてな」
「マウリアを拠点としてですね」
「工作を行っていく」
「そういうお考えですか」
「彼に手出しも出来ず妨害も出来ないが我々の行動は取れる」
 こちらは何の問題もないというのだ。
「だからだ」
「今はそちらをしていきますね」
「やれる時にやるべきことを万全にする、だな」
「それが軍人です」
「ならだ」
「我々は今は」
「やるべきことをしていこう」
 彼等の、というのだ。
「そういうことでいいな」
「それでは私も」
「ここで言ったことを頼む」
「わかりました」
 タンホ
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