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色々難しい
第三章

[8]前話
「問題ないです」
「そうですか」
「あの、何かあったんですか?」
 店員の方から二人の態度におかしさを感じて聞いてきた。
「一体」
「実は」
 二人でこれまでのことを話した、そして。
 話を聞き終えた店員は二人に驚きを隠せない顔でこう言った。
「そんな風なんですね」
「そうなんです」
「それで中々引き取れなくて」
「ペットショップに来たんです」
「こちらのお店に」
「そんなに条件が厳しいですと」
 店員は驚きを隠せない顔のままで言った。
「もうそれこそですよね」
「引き取れる人少ないですよね」
「そうですよね」
「実際お二人も引き取れませんでしたし私も独身ですから」
 それでというのだ。
「そんなことはです」
「言われないですか」
「ペットショップでは」
「それに引き取る時お金を貰うというのは」
 このことはとだ、店員は今度は顔を顰めさせて言った。
「もうペットショップと変わらないですね」
「そうですよね」
「そんな団体もあるんですよ」
「もうそこまでいくとですよね」
「本当にペットショップですね」
「問題ですね」
 店員さんは考える顔でこうも言った。
「それはそれで」
「はい、本当に」
「どうしたものでしょうか」
「このことについては」
「どうにかしていかないといけないですね」
「生きものを大事にすることは絶対ですが」
 命だからだ、命を大事にしなくてはいけないことは当然のことだ。
「ですがそんな条件を厳しくしますと」
「かえって引き取ってもらえる猫が少なくなりますよね」
「犬もそうですよね」
「そこは何かして欲しいですね」
「引き取るに厳し過ぎる条件は止めるべきですね」
「そう思います」
 店員はこう言って二人にそのアメリカンショートヘアの雄猫を渡した、二人はもう猫を飼う用意は整えていたのですぐに彼との生活に入った。
 猫をトムと名付けて二人で一緒に暮らしはじめた。
「トム、ご飯用意したぞ」
「トム、遊びましょう」
「ニャ〜〜〜」
 トムは二人にすぐに懐き彼等と幸せな生活に入った、二人はそのトムを見ていつも笑顔になったがそれでもだった。
 彼等は幸せだった、だがその中でまた思った。
「やっぱり引き取る条件が厳しいとな」
「引き取り手がいなくなるから」
「常識の範囲の条件にして欲しいな」
「本当にそうよね」 
 保護猫の引き取りについてはこう思った、そのうえでペットショップから買って引き取っているトムと一緒に遊ぶのだった。


色々難しい   完


                 2020・10・20
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