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麗しのヴァンパイア
第二百八十六話

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                      第二百八十六話  石の力
 美奈子は華奈子に賢者の石のことをさらに話した、今度は石が一体どう凄いのかを彼女に話すのだった。
「普通の石でも思うままに何にでも変えられるの」
「錬金術っていうから」
 華奈子はそう聞いてすぐに言った。
「その辺りの石を金とかに?」
「変えられるの」
「それは凄いわね」
「金だけじゃなくて」
 美奈子はさらに話した。
「銀にも宝石にもね」
「変えられるのね」
「他のものにもね」
「鉄とかにも」
「石油とか石炭にも」
 そうしたものにもというのだ。
「変えられるの」
「じゃあ造ったら大金持ちね」
「そうなれるの」
「錬金術ってそれが目的なのね」
「お金持ちになることがね。あと中国じゃ練丹薬っていうけれど」
 美奈子はこちらの話もした。
「こちらは不老不死のお薬造ることが目的なの」
「そちらはそうなのね」
「まあ大体同じね」
 そのすることはというのだ。
「おおよそでも」
「成程ね」
「大金持ちになるか」
「不老不死になるか」
「どちらもってことも出来るわ」
「そうなのね、まああたしもお金欲しいし」
 華奈子は率直に述べた。
「それに長生きもね」
「したいわよね」
「けれど大金持ちとか不老不死とか」
 そうしたことはというのだ。
「そこまではね」
「思わないの」
「ある程度でよくない?」
 美奈子にこう言った。
「必要なだけで」
「それ位でいいの」
「うん、そう思うけれどどうかしら」
「そうかもしれないわね」
 美奈子は華奈子に少し考える顔になって答えた。
「必要なだけあればね」
「お金も寿命も」
「錬金術を学んでもね」
 欲しいものは必要なだけあればいいとだ、美奈子は華奈子の言葉を聞いて思った。そうして自然と微笑んだ。


第二百八十六話   完


                   2020・8・2

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