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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第67話 明かされる秘密
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が、前もって身構えていればどうという事はないのだ。──ここにレイセンの気持ちは決まっていたようである。
 そして、豊姫、依姫、勇美、レイセンの四人は地上へと赴くのだった。

◇ ◇ ◇

 そして一行は永遠亭のすぐ側の竹林の中へと辿り着いていた。
「う〜ん、いい香り〜♪」
 そう言って地上の空気を堪能するのは勇美であった。やはり彼女は地上で生まれ育ったのだから、そこの空気は実に馴染むのである。
 対して他の三人は穢れの無い月で育った為に、抵抗が無いと言えば嘘になる。
 しかし、一般的な月の民のように軽蔑の対称には決してしてはいなかった。月での倫理があるように、地上での倫理もある事は良く分かっていたのだった。
 それは、まず永琳が綿月姉妹にすべからく教えた事である。そしてその二人を通じて玉兎達にも伝わったという訳だ。
 そのように『繋がり』の大切さを依姫は分かっていたからあの時勇美とコンタクトを取り……そして今があるという事である。
 その事実を依姫は噛み締めながら、勇美とレイセンと共に永遠亭を目指すのだった。
 そして一行は永遠亭で永琳に挨拶をした後、休憩室へと赴いていた。
 すると、綿月姉妹の二人はおもむろに辺りをキョロキョロと確認をし始めた。それを見ながら勇美は何事だろうかと思う。
 対してレイセンは、それを疑問には思ってはいないようであった。それどころか、どこか卓越したようにすら見えた。
 一人と一羽がそのような対照的な振る舞いを見せている中で、とうとう依姫は切り出す。
「『演技』、ご苦労様でした、レイセン……いえ『イシン』」
「??」
 依姫の言いたい事がまるで分からずに、勇美の頭にはクエスチョンマークが大量に出るばかりである。
 対して勇美の隣の玉兎は、話の内容を抜かりなく熟慮しているようで「はい」と歯切れよく返事をした。
 一人置いてきぼりを喰らって、勇美は堪らずに聞いた。
「どういう事ですか、レイセンさん〜?」
 すがる様に言う勇美に、豊姫は実にしれっと彼女に言ってのける。
「残念。違うわよ勇美ちゃん。彼女は『イシン』なんだから〜♪」
「だから分かるように教えて下さい〜!」
 自分だけ煮えきらないこの状況に、勇美は頬を膨らませて抗議した。やっぱり彼女は小動物っぽかった。
 豊姫はそんな勇美を見ているのも愛らしくて楽しい訳であったが、ずっとからかい続けているのも可哀想なので勇美に事の説明をしようと心に決める。
「……依姫、いいかな?」
「ええ、勇美にとってもイシンにとっても問題はないでしょうから」
 意味ありげなやり取りを綿月姉妹は行う。その後二人は頷き合い、互いに承諾をしたようだ。
 そして、豊姫は勇美に向き直った。その表情は些か真剣味を帯びている。
「勇美、前に私と喫茶店に行った
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