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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第64話 噂のあの子との邂逅
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 勇美が月へ行く事が決まったその日の夜、幸い彼女は後に気付いた時自分でも驚く程ぐっすり眠る事が出来たのだった。しかも一人遊びを行わずにである。
 その功績は依姫の配慮による所に他ならなかったであろう。故に勇美は朝起きて頭が覚醒してきてからその事に感謝するのであった。
 そして、勇美は今非常に快調なのである。これから先大事な任務があるというのに、自分でも不思議な程なのだ。
 彼女は既に朝食も身支度も済んでいた。後は豊姫の力で依姫と共に月へと出向くだけである。
 この場にいるべきだと思われる者……月の出身である鈴仙と、主である紫を探している藍はどうなるのか?
 その答えは、二人とも地上に残るというものであった。
 まず、藍は幻想郷を最も愛する紫の為に、自分が月に出向くよりももしもの時の為に幻想郷を護る側に立っておくべきだというのが自他共に認める案が出されていたのだ。
 その役目は霊夢も引き受ける事となったのである。彼女とて、伊達に楽園の巫女は名乗っていないのであった。
 そして、次は鈴仙である。彼女が地上に残る事を選んだ理由は、『地上の兎』として従事したいという意志からであった。
 鈴仙にとって、最早幻想郷が故郷となっていたからである。自分で月から離れる道を選んだ分、その責務を自分で全うしようという考えに至ったのである。
 その考えを後押ししたのは依姫であった。月に残した仲間の事を気に掛けていた鈴仙に「貴方は自分の信じる事をすればいいのよ」と声を掛けたのであった。
 それにより鈴仙は吹っ切れる事が出来たのだった。
 そして、勇美と豊姫と依姫は永遠亭の入り口に集まっていた。いよいよ出発の時なのである。
「勇美ちゃん、準備はいいかしら?」
 勇美の具合を気遣って豊姫が尋ねてくる。のほほんとしたような豊姫であろうとも、人並みの気遣いは出来るのであった。
「はい、すごく好調です」
 勇美は迷わずそう答えた。自分でも不思議な位、今はその答えしか出て来なかったのである。
「それは心強い答えね」
 聞いてきた張本人である豊姫とて、勇美の潔い返答っぷりには良い気分を味わうのであった。
 だが、それに安心しきらないのが豊姫なのである。飄々としているようでいて慎重なのが彼女なのだ。でなければあの時永琳は侵略者を罠にはめる作戦を豊姫に任せはしなかっただろう。
 だから、彼女は念を押しておく事にするのだった。
「でも、くれぐれも無理はしないでね」
「はい、無茶はしませんから安心して下さい」
 豊姫の気遣いに勇美は嬉しくなりながら返した。強気で言い切りはしたが、それでも自分に気に掛けてくれるのは喜ばしくない訳がないのだから。
 そんな二人の間に依姫が入ってくる。
「勇美、困った時は私達を頼りなさい。──貴方はもう私達の『家族』だからね」

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