第七十六部第一章 動きはじめる両軍その四
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「砂糖は五つ入れます」
「おい、五つか」
「実は俺も甘党なんですよ」
笑ってハルークそして軍曹であるアブクールに話した。
「それで、です」
「五つか」
「それだけ入れて甘くして」
「それで飲むか」
「そうします」
「そうなんだな、しかしレモンティーか」
この紅茶と聞いてだ、ハルークはこうハーディンに言った。
「意外だな」
「そうですか?」
「ああ、ストレートとかって何となく思ってたけれどな」
勘でとだ、ハルークは述べた。
「ちょっとな」
「レモンティーはですか」
「意外だったよ」
「俺その時で飲むもの変わりまして」
「紅茶もか」
「そうなんです」
それでというのだ。
「紅茶でもです」
「そうして飲むか」
「そうしてます」
実際にというのだ。
「俺は」
「そうだったんだな」
「はい、それと」
さらに話すハーディンだった。
「今は濃くですね」
「そうしろ」
アブクールはまたハーディンに答えた。
「眠気覚ましにな」
「とにかくそれですね」
「眠気は敵だ」
「ティムール軍も敵で、ですね」
「眠気もだ」
それもというのだ。
「ティムール軍に動きがなくてもな」
「それでもですね」
「警戒は怠るな」
「何かあったら駄目ですからね」
「若し敵が急に来てみろ」
そのティムール軍がだ。
「その時寝ていたりうっかりしていたらな」
「敵の動きに気付かないで」
「やられるからな」
そうなるからだというのだ。
「いいな、絶対にだ」
「寝ないことですね」
「今は」
「そうだ」
ハルークとハーディンに答えた。
「だからいいな、コーヒーも濃い紅茶もだ」
「飲んで、ですね」
「目を覚まして」
「そうして起きていろ」
ここはというのだ。
「いいな」
「チョコレートも食べて」
「そちらでも目を覚ましてですね」
「そうしろ、とにかく寝ないことだ」
それは絶対に守れというのだった。
「何があってもね」
「そうさせてもらいます、本当に」
「眠気は覚まして」
「配置に就いている間はな、ティムール軍は強いしな」
その彼等はというのだ。
「余計にだ」
「ですね、あいつ等も強いですよね」
ハルークはアブクールのその言葉に真剣な顔で頷いた。
「とにかく」
「ああ、俺達も確かに強い。しかしな」
「あいつ等もまた、ですね」
「強いんだ、だからな」
「油断大敵ですね」
「お互いに強いと油断した方が負けるってな」
アブクールはこうも言った。
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