第五百八十二話 変更された朝食その八
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「ヨーグルトで味付けしてだ」
「柔らかくもしているか」
「そうだ、だからだ」
「この味か」
「軍鶏は固いが」
その肉がというのだ。
「その固さは諸刃の剣だ」
「固さが弾力になるな」
「しかしだ」
それはいいがというのだ。
「同時に固いのがな」
「肉の食いにくさになるな」
「そ弾力を保ち食いやすくする」
その両方を併せ持たせる為にというのだ、洪童は鶏肉カレーの味がついたそれを食べつつさらに話をした。
「そうする為にな」
「ヨーグルトに漬けたんだな」
「そうだ、この味と弾力はな」
「それがわかるか」
「味でわかった」
カレールーの中の鶏肉のそれでというのだ。
「俺はな」
「よくわかるね」
ベンは語る洪童に目を丸くして言った。
「そんなことまで」
「味はな」
「それはなんだ」
「わかる、どうも俺は味覚が鋭いらしい」
「味の分析も凄いみたいだね」
ベンはこのことも指摘した。
「だからだね」
「味もわかるか」
「そう思うよ」
こう洪童に話した。
「僕はね」
「そうか」
「うん、ただね」
「ただ?」
「いや、軍鶏をそうして工夫して調理するとか」
ベンはこのこと自体について話した。
「流石だね」
「セーラのお家のシェフの人達はな」
「うん、そう思ったよ」
「だって大金持ちのお家のシェフの人達だから」
マルティは二人にカレーを食べつつ突っ込みを入れた。
「やっぱりね」
「それだけの腕はあるか」
「工夫する位の」
「それで余裕もね」
「あるか」
「この場合の余裕はお金だね」
「それがあってね」
だからだというのだ。
「それでだよ」
「こうしたことも思いつくんだな」
「カレーに入れる鶏肉の工夫も」
「そうだと思うよ」
「お野菜もな」
洪童はこちらの話もした。
「素材はいいが」
「それでもなんだ」
「やはりそれだけではない」
「そうなんだ」
「味付けはしていないが」
人参や玉葱、ジャガイモ等にはだ。
「じっくり煮込んでな」
「それでなんだ」
「かなり柔らかくして」
そしてというのだ。
「味もルーに出る様にしている」
「そこも考えているんだね」
「カレーやシチューの肉や野菜は煮込めば煮込む程味が出る」
「それはそうだね」
「そしてこのカレーはな」
洪童は人参を食べながら話した、硬い筈のこの野菜も今はその硬さを全く感じさせない程になっている。
「相当にな」
「煮込んでだね」
「そうしてだ」
そのうえでというのだ。
「この柔らかさだ」
「そうしたこともしているんだね」
「このカレーはな」
「こんなカレーいつも食べているなんて」
レミはしみじみとした口調で述べた。
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