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SHOCKER 世界を征服したら
プロローグ 
敗残狼の反攻の狼煙
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1947年 リヒテンシュタイン公国 首都ファドゥーツ
   

オーストリアとスイスの中間にあり、世界で6番目に小さな国……リヒテンシュタイン公国。その首都ファドゥーツは同国が先の大戦で中立を宣言したこともあって特徴的なメルヘンチックな建物が多く残っており、古きよき古都の風景に感動する旅人があとを絶たない。

 
しかし、その日はそんな風景にも目もくれず、ただただ歩を進め続ける男がいた。どこか表情は暗いが一見、若々しい旅人のような格好をしていたため、通行人の誰もが気に留めることはなかった。

それもそのはず、その格好は彼の長年の逃避行から会得した高度な変装技術によるものであったからだ。


彼はふと考えた。
この辛い逃避行から何日……いや何年が経ったか……。
気づけば祖国ドイツの降伏から2年も経過していた。
戦災の影響で溢れる孤児、爆撃で荒れ果てた都市、敵であったはずの連合軍に媚びる同胞。
祖国の惨状を見て嘆くのはもうやめた。



今日もそんなことを考えながら街を練り歩き、ひと目を避けようと路地裏に入ると3人組の男達が旅人風の男の進行を塞ぐように立っていた。

 
「バカラシン・イイデノビッチ・ゾル!お前の顔は割れてるんだ!!正体を見せろ!!」


「はぁ……化粧(変装)は得意なつもりだったんだが……」


男は正体がバレたことに溜息をつきながらウィッグとメガネ、ついでに付けボクロを取り去る。さらに目つきも先程の優しそうな好青年のようなものから冷血な軍人のようなものへと変わり、男はその左目の上に黒い眼帯を着けた。
彼が変装を解いて正体を表すと3人組の男達は怒りに震え、唸るような声を上げた。


「……やっぱりだ。アウシュヴィッツ管理人、ドイツ国防軍大佐のゾルだ!」
「貴様のせいで何人の同胞が殺されたか……」
「今、ここで彼らの無念を晴らしてやる!!」


ああ、この手の輩はもう何人になるだろうか。50人を超えた辺りから数えるのをやめていたゾルはふと考えこんでしまった。
見たところユダヤ人のようだ。恐らくはユダヤ人武装組織の諜報部の人間だろう。


「ここはリヒテンシュタインだ。エルサレムでもパレスチナでもないんだぞ?」


「うるさい!さんざん同胞をガス室で殺しておいて何様だ!お前を殺しても問題にするような国はないんだ!!観念しろ!」


彼の言う通り、こんな敗残兵…ましてやナチス残党ともなれば自分の殺害を非難するような国はない。それが彼の祖国の成れの果てである東西ドイツのいづれかであったとしても。


「お前が改造人間なのは知っている。だがその肉体も最早、限界だそうじゃないか。俺達がトドメを刺してやる!!」


ユダヤ人の男達はサプレッサー付きの拳銃
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