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麗しのヴァンパイア
第二百七十九話

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              第二百七十九話  神戸の妖怪達
 一つ目小僧、から傘、子泣き爺、ろくろ首、一反木綿、小豆洗い、狒々、砂かけ婆、一反木綿、すねこすり、猫又、犬神、塗り壁といった面々がだ。 
 カーミラの館に来た、彼等は館に入ると口々に言った。
「いや、まさかな」
「西洋の吸血鬼のお屋敷に呼ばれるなんてな」
「思わなかったわ」
「そうだよな」
「この度は」
「同じ妖怪でして」
 カーミラは少し戸惑っている彼等に口々に話した。
「それに神戸に住んでおられるので」
「それでか」
「わし等を呼んでくれてか」
「宴をしてくれるか」
「そうなんだな」
「はい」
 まさにというのだ。
「親睦を深める為に」
「それは悪いな」
「本当にな」
「そんなことしてもらうなんて」
「どうにも」
「遠慮なくです」
 そこはというのだ。
「美酒に美食を用意していますので」
「おお、飲んで食ってか」
「宴らしくそうしてか」
「そのうえでか」
「楽しんでいいんだな」
「そして歌って踊って」
 そうもしてというのだ。
「楽しんで下さい」
「よし、じゃあな」
「そうさせてもらうな」
「美味いもの飲んで食って」
「そのうえでな」
「皆さんは日本の妖怪なので」
 だからだとだ、カーミラはさらに話した。
「和食を用意しました」
「おお、和食か」
「一体どんな和食だ?」
「さて、どんなのか」
「見てのお楽しみだね」
「今から」
「お寿司を用意しました」
 メニューはそれだというのだ。
「お酒は日本酒です」
「いいねえ」
「寿司に酒なんてな」
「この人わかってるね」
 日本の妖怪達は寿司に日本酒と聞いて笑顔になった、そうしてだった。
 席に着いた、カーミラもそうして宴をはじめるのだった。


第二百七十九話   完


                  2020・7・12
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