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俺様勇者と武闘家日記
第1部
アッサラーム〜イシス
ピラミッドでの攻防
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体力よりも精神的に辛かったので、その一言は喉の乾きを潤す水のごとく希望をもたらしてくれた。
「明日はこのままピラミッドに向かう。準備しとけよ」
 そう言うと、ユウリはルーラを唱えた。瞬時にイシスの宿屋へ到着する。こういうとき、ホント呪文って便利だなって思う。けど、ルーラの呪文というのは割と精神的な負担が大きいらしく、本当はあまり使いたくないらしい。私もあまりユウリに負担をかけたくないので、なるべく早く強くなりたいのだが、こればっかりは焦っても仕方がない。今できることをやるしかないのだ。



 イシスの宿で一晩明かし、翌朝。私たちは日が昇ると同時に、町を出た。砂漠に足を踏み入れたとたん、ひんやりとした空気が足元を薙いでくる。早朝の砂漠は昼間とは真逆で、冬のように寒い。私のいたカザーブでは、もう冬を間近に控えている時期なのだが、この地方にいると季節の移り変わりがないのでわからなくなってくる。
 ピラミッドまでのルートは、ルカやロズさんに事前に聞いたので全員把握していた。勿論先頭はユウリなのだが、方位磁石を持ってないので、時々立ち止まっては、影を見て方角を確認しなくてはならない。
 やがて、前方に人工的な砂漠の山が見えて来た。近づくにつれて、それは山ではなく、人工の巨大な四角錐の建造物だというのがわかる。
「うわあ、大きい建物だね」
 私がポカンと口を開けていると、ユウリが私の後ろ頭を小突いてきた。
「間抜け面はいいから、早く中に入るぞ」
 感動もそこそこに、さっさとピラミッドの入り口に入るユウリ。もうちょっと感慨深くさせてくれてもいいのに、と思いながらもしぶしぶ後に続いていく。
 盗賊のナギはこういういかにも罠や仕掛けがありそうな所に興味津々であり、シーラは入り口を覗いた途端、辛気くさいと苦い顔をした。
 私もシーラに倣って入り口を覗いてみると、通路は一本道になっており、奥に進むにつれて暗闇が広がっている。長年人が足を踏み入れてないせいか、明かりもない。それは同時に、どこに魔物がいるかわからない状態でもある。
 私たちは、イシスで前もって買っておいた携帯用の松明を取りだし、壁を擦って火をつけた。小さく燃える松明を入り口に向けて照らしてみるも、やはり何も怪しいものは見えなかった。
「入るぞ」
 松明を持ったユウリがまず最初に進む。次いで私、シーラ、ナギの順だ。
「効果があるかわからねえけど、一応『しのびあし』使うぜ」
 『しのびあし』とは、レベルが上がってナギが覚えた技だ。少しの間だが、魔物に気づかれないように歩くことが出来るらしい。しかもそれは、パーティー全体に効果があるという。今この場所で使うにはうってつけだ。ただ、使用者よりも魔物のレベルが高いと、効果はあまりないようで、その辺りは賭けに出るしかない。
 『しのびあし
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