暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第50話:水月で愛を語らう
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 日は完全に暮れ、代わりに月が空に高く昇った夜の街中を、颯人が後ろに奏を乗せたマシンウィンガーで走り抜けていた。
 颯人から予備のヘルメットを渡され、颯人の後ろに乗った奏は彼の背中にしがみつきながら流れる景色を眺めていた。

「…………んで? 何処に連れて行こうってんだ?」

 夜のデートのお誘いと言われ、期待と驚愕を抱きながら言われるがままにマシンウィンガーに乗った奏。しかし彼は、彼女が後ろに乗ると行き先も告げずに走り出したのだ。
 最初、聞くのも面倒だったし変な所に連れていかれはしないだろうと考えていた奏だったが、一向にどこかに停まる気配も見せない颯人に奏は好奇心が抑えきれず運転中の颯人に後ろから訊ねた。

「知ってると思うけど、アタシ昼間は翼と一緒に響達と遊び歩いたからそれなりに疲れてるんだけど?」
「分かってるって。そこら辺もちゃ〜んと考えてプランは練ってあるからさ」
「本当かぁ?」
「ま、気楽に夜景ツアーと洒落込もうや」

 そう言うと颯人はアクセルを踏み込み、更に速度を上げて走り始めた。奏は振り落とされないようにと、慌てて強気しがみついた。




***




 2人を乗せたマシンウィンガーは、先程の言葉通りに夜景が見える場所を重点的に走っていた。
 すっかり夜になった街。しかし人の営みの証、街の電灯の光が街だけでなく夜の空をも照らしている。

 そんな夜景を眺めながら、奏はマシンウィンガーに腰掛け発泡スチロールのトレーに盛られたカレーを頬張っていた。
 宣言通り夜景を楽しめるところばかり周っていた颯人は、このカレーが売っている屋台を見つけると夕食がまだだと言う奏の為に休憩も兼ねて近くにバイクを停めたのだ。

 因みに肝心の颯人はと言うと、今この場には居ない。彼はつい先程飲み物を買うと言って少し離れた所にある自販機に走っていった。残された奏は1人、ぼんやりと夜景を眺めながら普段食べる事が無い屋台のカレーを堪能する奏。

 その時、彼女に声を掛ける者達が居た。

「よぉ、彼女! こんな夜中に1人でツーリング?」
「どうせだったら俺らと一緒に遊びに行かね?」

 見るからにチャラい男二人組。表情に下卑た気持ちを隠せていない、三下のチンピラである。
 声を掛けてきた2人に対し、奏は眉間に皺を寄せた。

「悪いけど連れが居るんだ。他を当たってくれ」
「んな釣れない事言わないでさぁ」
「君を置いてきぼりにするような奴より、俺らと居る方がずっと楽しいって」

 尚、今の奏は颯人による変装の手直しが行われた結果、パッと見ではツヴァイウィングの天羽 奏であるとは分からないくらいになっていた。なので、奏の前に居る2人も彼女がトップアーティストであるとは気付いていない。
 だ
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