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ドリトル先生と琵琶湖の鯰
第七幕その四

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「そうして学問をしているからいいのよ」
「先生のその姿勢は生物学でも発揮されていて」
「生物の採集にもそうだから」
 チープサイドの家族もこうお話します。
「田中さんもお誘いしたのよね」
「今回にね」
「そう、先生がいてくれたら百人力よ」
 まさにとです、ダブダブは断言しました。
「こうした時も」
「もう学問のことにかけては先生がいてくれたらどれだけ有り難いか」
「八条大学では誰もが知っていることになっているから」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「頼りにされるんだよ」
「いつもね」
「先生自身学問が生きがいだから」
 ホワイティはこう言いました。
「楽しんでいるしね」
「そう思うと田中さんも人を見る目があるね」
 チーチーはしみじみとした口調で言いました。
「先生にお誘いをかけて」
「実際かなり採集と調査が進んでいるから」
 それでとです、ジップも言いました。
「まさに先生に声をかけてこそだね」
「そうそう、じゃあ今回も腰を据えていこう」
 最後に老馬が言いました。
「じっくりとね」
「そうしていこうね、絶対に見付けて水族館に来てもらうつもりだけれど」
 それでもと言うのでした。
「ただね」
「あっ、若し見付からなくても」
「それでもだね」
「仕方ない」
「期限までに見付からないことも」
「それも覚悟しているよ」
 こう皆にお話するのでした。
「実はね」
「そうだよね」
「生物学じゃあるからね」
「期限まで探しても見付からない」
「そうしたことも」
「そう、生きものは生きもので動いているんだよ」
 そうだというのです。
「人間の都合で学問をしてもね」
「駄目だよね」
「見付かるものじゃないね」
「そうした学問だから」
「そこは仕方ないね」
「学問は相手があるんだ」
 先生ははっきりとした口調で言いました。
「それが地質だったり言語だったり歴史だったり数式だけれどね」
「生物学は相手が生きもので」
「それでだね」
「生きものは生きものの都合で動いているから」
「そのことがどうしてもあるから」
「人間の都合だけで考えても駄目だね」
「そうだよ。だからね」
 それでというのです。
「僕はそうなっても仕方ないと考えているよ」
「諦めないことも学問だけれど」
「諦めるのも学問だね」
「そしてまた今度の機会」
「その機会に動くことね」
「そういうことだよ」
 先生は皆にお話しました。
「そこはね」
「しっかりとだね」
「割り切ってだね」
「それでやっていくね」
「そうしていきましょう」
「皆でね」
「そうしていこうね、それとだけれど」 
 先生は湯舟の中で身体が熱くなっていくことを感じつつさらに言いました。
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