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仮想空間の歌う少年
13ー私の気持ちで
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な。調べたら結構確認されている…。」

そう言って佳のお父さんは真面目な顔で資料を見ていると。

「それで。佳はなんて言ってるんだ?」
「佳は…。」

そう言って今の状況を説明する。SAOの記憶を失っている事、そして佳が私の事をどんどん好きという気持ちが無くなってしまってること。話すだけ話した。すると佳のお父さんはなるほど。と一言言うと。

「あいつそんな状況なのか…。『詩乃の事嫌い。』とか言ってるわけだ。」
「そこまでは言ってませんけど…どうにかならないんですか?」

佳の声に似てる佳のお父さんの声で「詩乃の事嫌い」と言われると少しゾッとしつつ。そう私が言うと佳のお父さんはふっと笑って。

「大丈夫だよ。たぶん佳は口ではそんな事言ってるけど…。詩乃ちゃんの事を嫌いになることは絶対にない。」
「え?」

なぜそう言いきれるのか分からないので思わず声が出た。佳のお父さんはははっと笑って。

「だって詩乃ちゃんのために自分の別の人格も作り上げて記憶を無くしてたくらいだぞ?
もう一度言う。大丈夫だ。記憶が無くなっても心が覚えてるから。」
「心が…。」
「まあ、医師である自分が言えた立場ではないけど心という物はあると思ってるんだ。その心というのは医学では解明出来ない力を起こす。」

すると佳のお父さんは遠くの方を見てあの子の話を始めた。

「恐らく詩乃ちゃんも知ってると思うけど紺野さん…ユウキちゃんも凄かった。佳に会う前も明るかったけど佳と再開してからもっと元気だった。『ユキに会えてとても嬉しい』って。外にも出れるかな?と思うくらい元気だったんだ。」
「…ユウキさんが?」
「だから心配することなんて何も無い。」

そう言って私を見てニコリとする。さすが親子。笑顔もよく似ていた。いつもの佳の笑顔に似て安心する。

「大丈夫。あいつの心を信じてあげてくれ。きっと心は詩乃ちゃんを求めてるから。
…求めてるはちょっと変か。」

そう言ってくる佳のお父さんの言葉を信じようと思ってその言葉にはい。と頷く。佳と同じで何故か言葉には説得力があった。

「んじゃ佳の事は頼んだぜ?詩乃ちゃん。」

私はもう一度頷くと恐らくマンションにいるであろう佳に会うために診察室を後にした。
残された雪宮真はふっと笑って。

「きっと…大丈夫さ。」

そう呟いていた。

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