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星河の覇皇
第七十五部第五章 宣戦布告その十六

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「皇帝が法律でだ」
「法律の縛りは受けない」
「そうした皇帝もいたというのですね」
「俗に言う暴君か、だが殆どの皇帝はだ」
 特に近代以降の皇帝達はというのだ。
「法律の中にあるその法律と国家の僕だった」
「国の主でもですね」
「皇帝でもですね」
「法律の中にあった」
「その僕でしたね」
「独裁者とは違う」
 そこはというのだ。
「決してな、皇帝とは何か」
「法律の中にある」
「そうした存在ですね」
「絶対にして無謬の存在ではない」
「独裁者とは違い」
「そうだ、皇帝は法律の中にあるのだ、何よりもだ」
 さらに言うアッディーンだった。
「法律もアッラーの創られたものだな」
「はい、法はコーランから成ります」
「他の文明の法は違いますがイスラムではそうです」
「イスラムでは法律の根源はコーランです」
「アッラーがムハンマドに送られた」
「そして人もアッラーの僕である」
 このことも言うアッディーンだった。
「皇帝も人間だからな」
「法律の中にあってですね」
「そしてコーランの下にある」
「即ちアッラーの下に」
「それ故に」
「絶対にして無謬ではないのだ」
 そもそも人間自体がというのだ。
「このことを踏まえると皇帝はな」
「法律、つまりコーランの下にあるべきであり」
「そのうえにおいて国家を治める」
「そうでなけばなりませんね」
「即位されても」
「そして代を重ねるとだ」
 初代から二代、三代とだ。王朝は代を重ねていくこともまた重要でその歴史が権威を作ってもいくのである。
「やがてはだ」
「皇室の歴史ですね」
「そして典範ですね」
「皇帝はそれに従っていく」
「そうなっていきますね」
「そうなる、私は皇帝にはなるが」
 しかしというのだ。
「独裁者になるつもりはない」
「無謬の絶対者にはですね」
「なられませんね」
「その様には」
「イスラムでも有り得ないしな」
 全てがアッラーにある教えの中ではというのだ。
「だからだ」
「余計にですね」
「そうしたお考えはなく」
「そしてですね」
「サハラを治めていかれますね」
「その様に」
「そうしていく、皇帝はだ」
 まさにというのだ。
「絶対者ではないからな」
「皇帝は絶対者ではない」
「そのことは常に念頭に置いて」
「そうしてですね」
「サハラの皇帝として治めていかれる」
「そうなられますか」
「そう考えている、そしてだ」
 さらに話すアッディーンだった。
「一つ思うことはだ」
「それは?」
「それはといいますと」
「一体」
「それは」
「神を忘れるとだ」
 若しそうなると、というのだ。
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