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戦国異伝供書
第百四話 まずすることその六

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「それは大事にしてな」
「そうしてですな」
「立ててな」
「神輿ですな、公方様は」
「そして我等は公方様を立て」
「関東管領になることですな」
「上杉家を追ってな、北条家は何であったか」
 自分達が名乗っているこの家はというのだ、氏綱は北条家が何であるかをしっかりとわかっているのだ。
「お主もよくわかっておるな」
「はい、鎌倉幕府の執権でした」
「言うならじゃ」
「関東管領ですな」
「それになる家じゃ」
「左様ですな」
「だからな」
 それでというのだ。
「それになることじゃ」
「それでは」
「それを目指すべきじゃ」
「はい、当家は公方様を立てるべきですな」
「そうじゃ、だからじゃ」
 それでというのだ。
「お主には頼むぞ」
「その様になります」
「当家は既に鎌倉を領地としておる」
 幕府があったその地をというのだ。
「相模にあるからな」
「だからですな」
「うむ、関東に覇を唱えればな」
 その時はというのだ。
「あの地に公方様をお迎えし」
「立てますな」
「そうすればよい」
「ですな、上方でも幕府の権威は落ちていますが」
 今氏綱が言ったとおりにだ。
「それでもですな」
「神輿である」
「治には神輿も必要です」
「だからな」 
 それ故にというのだ。
「あの地に迎えるのじゃ」
「ではな」
「頼むぞ」
「それではな」
「はい、ではこれからは」
「両上杉をな」
 この敵達をというのだ。
「倒す様にな」
「そうしていきます」
「お主なら」
 まさにというのだ。
「必ず出来る」
「それが」
「だから後は頼むぞ」
「では」
「うむ、後は何も心配しておらぬ」
 氏綱は落ち着いた声で述べた、そしてだった。
 彼は氏康の初陣の話のことについてだった、氏康は敵に背を向けることなく戦いしかも戦の采配も見事であった。
 それでだ、また言った。
「ではな」
「敵に背を向けず冷静に戦った」
「そのこともですな」
「よいですな」
「新九郎様は」
「そう思う、向こう傷を受けようとも」
 それでもというのだ。
「慌てず確かな采配を行ったことはな」
「よいですな」
「では戦についても」
「そのこともですな」
「憂いはない」 
 全くと言うのだった。
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