暁 〜小説投稿サイト〜
星河の覇皇
第七十五部第五章 宣戦布告その九

[8]前話 [2]次話
「勝敗を決する」
「ティムールを破る」
「そうしますね」
「戦略的にな」
 戦場で勝つのではなく、というのだ。
「勝敗を決する、あの艦は確かに役立つか」
「しかしですね」
「無敵の兵器なぞありません」
「人間が造るものが完璧である筈がありません」
「それは絶対のことです」
「この世で完璧な存在はアッラーだけですから」
 幕僚達はイスラムの考えに添って述べた。
「人間が絶対出ないことは絶対です」
「完璧な存在でないことは」
「そしてその人間が造るものなら」
「完璧である筈がないですね」
「あの艦にしても」
「そうだ、完璧でないからだ」
 それ故にとまた言うアッディーンだった。
「効果的な対策を用意される前にだ」
「この戦争を終わらせる」
「我々の勝利によって」
「そうしていきますね」
「その通りだ、戦争には勝つが」
 しかしというのだ。
「その前にな」
「あの艦の弱点は悟らせない」
「姿は見えないですが」
「姿を観られれば」
「それで終わりですね」
「見えないものは見えたら終わりだ」
 その時点でというのだ。
「この艦も地球にあった時はそうだったな」
「はい、見付けられればです」
「それで終わりでした」
「海の上から空の上から攻撃を受け」
「無残に沈められていました」
「そうなっていく、だからだ」
 それ故にというのだ。
「この戦いではだ」
「見付かる前に」
「まさにその前にですね」
「戦争を終わらせる」
「それ自体を」
「そうお考えですか」
「シャイターン主席なら一度の戦いで気付く」 
 まさにその時にというのだ。
「どういった兵器を使ってきたかをな」
「我々が」
「そうしてですね」
「対策を講じてですね」
「それを出してきますね」
「その対策を出してくるのも早い」
 シャイターン、彼はというのだ。
「そしてそうなればだ」
「あの艦の効果は減少する」
「そうなるからですね」
「だからですね」
「我々は」
「そうだ、あの艦を一度使うとな」
 切り札であるそれを使った時はというのだ。
「まさにだ」
「即座にですね」
「戦争を終わらせる」
「そうして反撃の機会を摘む」
「そうしていきますか」
「戦争は長く続けるものでもない」
 このことは孫子にもある、長期戦を行えばそれだけ多くの国力を使うことであり国力を悪戯に消耗させてしまうことになるということだ。
「だからだ」
「それで、ですね」
「元々短く終わらせるつもりですが」
「それでもですね」
「あの兵器を使えば」
「その時は」
「そこからがタイムリミットだ」
 その時になるというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ