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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
閉会〜金帰火来には遠すぎる〜
796年4月アスターテ共和国同盟弁務官連絡船中にて
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ルローンの後方基地を制圧するとか、輸送艦隊を叩くとかじゃねぇか!?」

「あぁなるほど‥‥」「シドニー・シトレは3期目を欲している、か。サンフォードが議長となるのは来年の頭までだ、下院と議長の同時選挙がある」

「これはまたロボス元帥はマンゴーナイカク、かしら」

「なんだマンゴーナイカクって」「知らないの?トップの席が手に入りそうなのに、手に入らない事よ」

「地球時代のコトワザってやつだな!」

「……なんでマンゴーなんだ?」「さぁ?昔は御馳走だったんじゃない?」

 興奮して会話を交わす弁務官たちをホアン・ルイは満足そうに眺めていた。
「‥‥‥ふむ」





 それから半日ほどが過ぎ【アルビル・コミューン分船団】の中、個室のカフェにイシリアンはリッツを呼び出した。

「ご相談があるのです、先生。まずは朝の件についてですが――」

「軍の話はあくまで噂話、ですがアスターテの追求に関する妥協案と併せてレベロ財務委員長とシトレ元帥の関係を強調しました」

「あぁ」

「そしてその後に本部長任期の話をし、実績作りへの期待を煽った……不思議でした、【縦深】は国防が活動の主軸ですが今はまだ話してもさほど意味はありません。確かに作戦本部長人事は重要ですが」

「それで?」

「ホアン執行委員長は、【縦深】の動きをコントロールしたかったのでは?」

「……別の話ですがルンビーニの件、私は出発前から例の調査を行うことを先生に話しました。この案件は労働災害としてはホアン・ルイ人的資源委員長も携わるはずです、そして情報交通委員会の案件ですが事前に調べる伝手は幾らでもある」
 リッツは同盟労働組合総連合の政策顧問でホアン・ルイは同盟労働組合総連合の役員から出馬した男である。
 二人が旧知の中なのは同盟議会のまともな議員ならば誰でも知っている。

 リッツはニヤリ、と笑った。
「なるほど、別の話だね」

「えぇ別の話ですが、この事故を起こした会社、入札に不審な点がある事は事実です」
 イシリアンは艶やかに微笑した。
「この件は私を正式に調査担当に任命していただければ先生の監督の下でキチンとお仕事をさせていただきます」
 イシリアンは同盟議会においては新顔である。任期もまだ5年ある。それでもなぜ調査担当になりたがるのか。下院への影響力を求めているからだ。
 同盟弁務官の任期は6年、だが下院は任期2年、であるからにはイシリアンが次の議席を狙うのであれば……パーランティアを選挙区とした下院議員と関係を築くことには大きな意義がある。それも可能な限り自身が優位に。
 そして彼らは実績を求めており、格好の餌を撒く立場が目の前にある。
 うまくすれば、下院の国民共和党へも恩を売り、場合によって
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