第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第52話 おもてなしSCARLETS
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フランドールへの何者かによる憑依の一件からしばらく立った日の夜。
「う〜ん、たのしみ〜」
勇美は緩み切った表情を出しながら心踊る気分であったのだ。
それは他でもない、当の騒動があった紅魔館からの招待があるからである。
あの時は完全に緊急の事態であった。だが、今回は安心してお呼ばれの下行くのだ。
紅魔館には一度依姫と咲夜、勇美とレミリアが弾幕ごっこをする為に招待してもらった事がある。
しかし、今回は弾幕ごっこなしの、完全な息抜きと交流の為のものであるのだ。
そして、これには紅魔館からのお詫びとお礼の意味が込められているのだった。
「勇美、楽しみそうね」
いつになく嬉しそうにしている勇美に依姫は言い、そしてもう一人この場にいる者にも話し掛ける。
「それから、お姉様もね」
そう、その人物は豊姫であった。彼女もまた紅魔館の危機を救った者としてお呼ばれが掛かっているのだった。
「そりゃあもう、紅魔館で出されるピーチティーはいかほどの物か楽しみじゃない訳ないでしょ〜」
「天界で桃を盗み食いしてもまだ足りんのかい?」
「うっ……」
依姫の手厳しい突っ込みに豊姫はうろたえた。
「よりひめ〜、その事はさっぱり水に流そうよぉ〜」
「ダメです」
依姫は、もうそれは爽やかな笑顔でキッパリと言い切ったのである。
「そ、それじゃあ私が紅魔館にみんなを連れていくから準備はいい?」
うまく逃げ切ったな、依姫はそう心の中で毒づいた。
夜道、殊更幻想郷のそれは妖怪が蹂躙する世界であるために危険なのだ。
その中を安全に、かつ手早く移動するには豊姫の能力が欠かせないのだ。
自分の性質を巧みに利用している。このしたたかさには中々敵うものではないと依姫は痛感するのだった。
なので、この場の自分の敗北を認める意味も込めて依姫は言った。
「ええ、頼むわお姉様」
◇ ◇ ◇
そして三人は豊姫の能力により、瞬時に紅魔館の敷地内へと現出したのだった。騒ぎにならないように人目のつかない場所を狙って。
そして歩いてすぐの場所に紅魔館の門が見えて来たのだった。
そこでは門番でお馴染みの紅美鈴が出迎えてくれた。
「皆さん、お待ちしておりました」
そう言って美鈴はペコリとお辞儀をした。
既に招待の話は門番である美鈴にも行き渡っているようだ。その事に三人は安堵する。
早速美鈴が館の中に三人を案内……するかと思われたが、ここで美鈴からこんな事を言われる。
「ところで御三方は今日は紅魔館に泊まっていかれるのですか?」
それを聞いた三人は皆苦笑した。
「それがね……」
依姫が歯切れ悪く言い、そこに勇美が加わる。
「以前、私が美鈴さんに日の当たらない紅魔館で一夜を過ごす為に『気』を身体に送ってもらった
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