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戦国異伝供書
第百一話 出雲攻めその六

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「出来ればな」
「当家にですか」
「欲しい位じゃ、十人衆も含めて」
 元就はこの考えも述べた、これは山中そして十人衆の強さを見てである。つまり彼等を認めているのだ。
「十人衆は武芸が大きいがな」
「采配ではなくですか」
「そこは山中殿と違うが」
 それでもというのだ。
「十人も猛者がおるとな」
「それだけで大きな力ですな」
「だからじゃ」
「父上も警戒されていますな」
「そうじゃ、十人衆もな」
 その彼等もというのだ。
「相手にしておるが」
「油断出来ませぬか」
「当家ではわしでないと下手をすれば敗れ」
 そしてというのだ。
「逆に討ち取られることもじゃ」
「有り得ますか」
「うむ、だからな」
 それだけにというのだ。
「これからの戦もな」
「山中殿と十人衆にはですか」
「わしがしていく、それとじゃ」
 ここで元就は二人の臣下を見た、顔の細長い大男の口羽通良と中背の顔の四角い男福原広俊である。元就は二人にこう言った。
「お主達はじゃ」
「はい、城をですな」
「しかと囲み」
「そして敵兵を逃さぬ」
「その様にせよというのですな」
「そうじゃ」
 そうせよというのだ。
「いいな」
「はい、それでは」
「その様に致します」
「ではな」
「それでなのですが」
 ここで口羽が言ってきた。
「殿が近頃言われている織田家ですが」
「うむ、上洛してじゃな」
「そしてそれからです」
「瞬く間に勢力を拡げてな」
「もう播磨や丹波まで手に入れられて」
「因幡もな」
「そうなっておりまする」
 こう元就に話した。
「山名家も降ったので」
「因幡まで来てな」
「当家と国境を接しました」
「織田家とは誼を通じぬまでもな」
 それでもとだ、元就は口羽に話した。
「ことを構えることはな」
「しませぬな」
「決してな」 
 こう言うのだった。
「その様にすることじゃ」
「それが大事ですな」
「幸い織田家はそれ以上に西に進まず」
 因幡そして播磨から西にはというのだ。
「急に拡げた領地の政に入っておる」
「しかと治めるおつもりですな」
「だからじゃ」
 それでというのだ。
「当家もな」
「織田家は攻めず」
「お互いに何もせぬ様にするのじゃ」
「そうすべきですな」
「尼子家を倒せば領地は充分であるしな」
 毛利家のそれはというのだ。
「だからな」
「これでよいですな」
「そうじゃ、あと四国の方であるが」
「伊予ですか」
「あの国にも進まぬ」
「あの国は多くの国人達に分かれていてです」
 福原がその伊予のことを話した。
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