第三章
[8]前話
「統はいつもマックスと一緒にいてな」
「マックスもあの子に一番懐いて」
「本当によかったな」
「そうね。最初はどうなるかって思ってたけれど」
「兄弟が欲しいって言われてか」
「困ったけれど」
正直そうだったがというのだ。
「それでもね」
「マックスが来てくれてな」
「本当によかったわね」
「全くだな、じゃあこれからもな」
「あの子はマックスと一緒ね」
「ずっとな」
夫は妻に笑顔で話した、そして統は二人の言う通り家ではいつもマックスと一緒にいてそうしてだった。
成長していった、そして中学二年の時に今もマックスと仲良く一緒にいる彼に母はこんなことを言った。
「子供の頃兄弟が欲しいって言ったわね」
「そうだった？」
成長した彼は母にこう返した。
「僕覚えてないよ」
「覚えてないの」
「そうだったかな」
「じゃあマックスが来た時のことは？」
「よく覚えてるよ」
こちらは笑顔の返事だった。
「今もね」
「そうなのね」
「マックスが来てくれて」
それでというのだ。
「本当によかったよ」
「今も仲よしだし」
「だからね」
それでというのだ。
「その時のことは忘れないよ」
「そうなのね」
「僕兄弟いないけれど」
一人っ子だがというのだ。
「それでもマックスがいるからね」
「いいのね」
「寂しくないから」
だからだというのだ。
「いいよ」
「そうなのね」
「マックスが僕の兄弟だから」
「お母さん達にとっても子供よ」
自分にとっても夫にとってもというのだ。
「大事なね」
「そうなんだ」
「ええ、だからね」
それでというのだ。
「これからもいいわね」
「仲良くだね」
「そうしていってね」
「ずっと一緒だよ」
統もこう返した。
「僕達は」
「兄弟よね」
「犬の成長考えたらもうマックスの方がお兄さんだけれどね」
先に生まれたのは自分でもというのだ。
「これからもね」
「仲良くね」
「やっていくよ、じゃあマックス散歩行こうか」
「ワンッ」
マックスも応えた、そうしてだった。
彼は家族と共に散歩に出た、一人っ子だがそれは人間としてだけだった。兄弟と仲良くしていて母もその姿を見て笑顔になり夫に話すと彼も笑顔になった。
来てくれた兄弟 完
２０２０・８・２４
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