第一章
[2]次話
来てくれた兄弟
池田統、小学三年生で茶色の硬い髪の毛の質と大人しい顔立ちの彼が母の梨沙にある日家でこんなことを言った。
「僕弟か妹が欲しいけれど」
「兄弟が欲しいの」
「うん」
茶色のロングヘアではっきりした目の優しい母に告げた。背は一五七程で胸が目立っている。スタイルは三十代後半だがまだまだ崩れていない。
「だって朗君も洋平君も遥ちゃんもいるから」
「お友達にいるから」
「だから僕もね」
子供ならではのあどけない声で言う。
「そうしたいけれど」
「そうなのね」
母は我が子に難しい顔で返した。
「わかったわ。お父さんと相談してみるわね」
「うん、絶対だよ」
「弟か妹ね」
「僕絶対に欲しいから」
母に強く言う、その夜だった。
梨沙は息子が寝てから夫の辰雄、サラリーマンをしている彼に息子が言ったことを話した。だがその話を聞いてだった。
夫は黒い硬い髪の毛に手をやって細い目を難しくさせて述べた。背は一七〇位で細面で痩せているが腹だけは四十になってから出て来ている。
「何時かあいつもそう言うと思っていたけれどな」
「私も。けれどね」
「正直な」
「あの子生む貯めにずっと妊活してたし」
実は梨沙は子供が出来にくい体質だったのだ、それで結婚してからずっと必死に頑張ってきたのである。
「それでやっとで」
「二人目はな」
「難しいわね」
「ああ、俺もな」
辰雄は辰雄でだった。
「子種が少ないみたいだしな」
「だから二人目は」
「難しいな、若い時でもそうだったしな」
それでというのだ。
「俺も四十過ぎたしな」
「私も三十代後半で」
「統は出来た時はな」
「私もまだ二十代だったから。ぎりぎりでも」
「何とか授かったけれどな」
「二人目はね」
それはというのだ。
「まずね」
「無理だな」
「そうね」
「だからな、統はそう言うし俺達も欲しいが」
それでもというのだ。
「難しいな」
「そうよね」
「正直な」
それはというのだ。
「こればかりは」
「どうしたものかしら」
「ここはな」
夫はここでこう言った。
「犬か猫をな」
「ペットをなのね」
「飼ってな」
そうしてというのだ。
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