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捨て犬の真実
第一章
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                捨て犬の真実
 息子の夏馬が仕事から家に帰ってきて日課のランニングから帰って来るとだ、萩原光弘と響は息子に玄関で大きなゴールデンレッドリバーの犬を見せられてこう言われた。
「ワン」
「ランニング中に公園で鳴き声が聞こえてさ」
「公園に行ったらいたんだな」
「その子が」
「ああ、木につながれてそのままだったんだ」
 夏馬は両親に話した、黒髪をショートヘアにした健康的な顔立ちの青年だ、背は一七六程で日課のランニングの為引き締まった体格をしている。仕事も体を動かす工場の作業員だ。
「それでうちでな」
「連れて来たんだな」
「そうなのね」
「一時でもうちで引き取らないか?」
 こう言うのだった。
「警察に話して飼い主も探してな」
「それがいいな」
 父は息子の言葉に頷いた、黒髪がふさふさとした端正な顔の五十代の一七五位の背の男だ。身体も痩せている。妻も背は一六五と女性としては高めで黒髪を短くしていて皺の少ない目も口元も中性的な顔で整っていると言えた。
「放っておけないからな」
「ああ、じゃあな」
「まずはうちで保護してな」
「飼い主を探そうか」
「そうしような」
「よし、じゃあな」
 息子は父の言葉に笑顔で頷いた、そして犬は雄だったのでポチ太と名付けられご飯をあげて散歩にも連れて行き一緒に遊んだ、そうして一ヶ月程楽しく過ごしていたが。
 ある日の夜家に茶色の癖のある細い髪の毛を伸ばしたきつい顔立ちの若い女が来て怒鳴って言っていた。
「うちの犬返して頂戴?」
「ああ、あの子の飼い主ですか」
 ランニングを終えて風呂にも入ってすっきりした夏馬がまず応対した。
「そうですか」
「そうよ、ちょっと公園に置いたら取って行ったでしょ」
「トイレでも行ってたんですか?」
「そんなところよ」
「そんなところって」
 夏馬はそこに引っ掛かるものを感じた、そして。
 ポチ太家の玄関にいた彼も女を見て怯えている。うちの犬というが懐いている感じは何一つとしてなかった。
 それを両親も来て見ておかしいと思った、だが。
 女は一方的にまくしたててきた。
「その犬を勝手に持って行くなんて泥棒?」
「泥棒って。公園で一匹でいたから引き取って」
 夏馬は女に反論した。
「それで飼い主も探していましたよ」
「それで来たのよ」
「それならわかりますけれど」
「返さないと訴えるわよ」
 女は今度はこう言ってきた。
「慰謝料付きでね」
「いや、慰謝料って」
「それが嫌なら早く返しなさい」
 ポチ太の方を見ずに言ってきた。
「いいわね」
「本当に飼い主ですよね」
 父が女に問うた、ポチ太に愛情がある様には全く見えないので。
「そうですよね」
「そうよ、これが証拠よ」
「・・
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