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曇天に哭く修羅
第四部
Bブロック 4
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江神春斗(こうがみはると)》は言われていた。

自身が【超能力】に目覚めた時に。


『剣士なら自分の握る剣で直接(・・)斬って倒したいと思うのかもしれないが、春斗の超能力は[それ]をしなくても良いものだ。だから使用の有無は春斗の意思に任せる』


(レイアさんは言った。剣士として戦うという拘りを捨ててでも勝ちたい、勝たなければならないと思ったら使えば良いし、最後まで剣士の戦い方を貫くなら使わず負けても良いと)


今が決断の時だ。


「《島崎向子(しまざきこうこ)》に告げる。ここからの俺は、まともな剣士では無くなってしまう。不様を(さら)すことを(ゆる)してほしい。だが、俺はそこまでしてでも貴女に勝ちたい」


春斗は【全領域戦争】の個人戦はおろか、次の試合に出ることも切り捨てた。

ここで向子を倒す。

その為に必要な手段を取る為に。


(江神くんは此処(ここ)を死地に選んだね。楽に勝たせてもらえそうにない)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


春斗の雰囲気が変貌。

観客が居る前で出すには物騒なそれ。

生と死の狭間に立つ命を懸けた人間だけが放てる濃厚で重苦しい『死気』と『鬼気』が会場に広がり充満していく。

皆気付いたようだ。

江神春斗は島崎向子が死ぬとしても全身全霊で勝ちに行くつもりなのだと。

観客が巻き添えになるような、何らかの犠牲を伴うやり方で有ろうとも。

観客が席を立って会場を出ていく。いや、逃げ出す。悪寒と恐怖に震えながら。

その顔は青褪(あおざ)めている。

それを見ながら春斗は安堵(あんど)した。


(俺の意は伝わったみたいだな)


後先を考えず本気の全力を出せば、会場が(ただ)では済まないことを解っている。

だから人払いしたのだ。

すっかり寂しくなってしまった会場を見渡して春斗は思わず苦笑い。


(結局残ったのは何時もの顔ぶれか)


龍帝学園の総合ランキングで10位以下のトップランカーがこぞって逃げ出す中でも彼等だけは生き残る自身が有るのだろう。

残るのは9位以上の一桁に座しており、10位以下とは次元を(こと)にする者。

それに該当する人間は


江神春斗

クリス・ネバーエンド

橘花 翔(たちばなしょう)

的場聖持(まとばせいじ)

エンド・プロヴィデンス

黒鋼 焔(くろがねほむら)

春日桜花(かすがおうか)

島崎向子


そして───


「男子、三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ。とは言うものの、見違えたぞ《立華紫闇(たちばなしあん)》。お前との再戦は叶わんだろうがな……」


◇◇◇◇◇
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