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戦国異伝供書
第九十九話 厳島の合戦その八

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「周防及び長門の者達は当家の兵にする、石見の者達もな」
「では九州の者達は」
「一体どうしますか」
「そちらの者達は」
「国に帰してやるのじゃ」
 彼等もというのだ。
「九州の大内家の領地は今の当主殿の兄上である大友殿のものになるが」
「その大友家にですか」
「兵を渡す」
「そうしますか」
「九州も動いておる」
 大友家のあるこの地もというのだ。
「今大友家は九州で第一の勢力であるがな」
「そういえばあの地もです」
「争いが絶えず」
「大友家以外にも大きな勢力がありますな」
「龍造寺家と島津家がある、特に島津家じゃ」
 元就はこの家を声を鋭くさせて話に出した。
「あの家じゃ」
「薩摩隼人ですな」
「一騎当千の猛者揃いといいますな」
「その兵は天下最強とも言われていますな」
「しかも島津家の四兄弟がそれぞれ出来た方じゃ」
 主である彼等もというのだ。
「必ず恐ろしく勢力を伸ばす」
「その島津家に対してもらう為にですか」
「大友殿に兵を帰す」
「そうしますか」
「大友家には立花道雪殿と高橋紹運殿がおられるが」
 この二人の名将達がというのだ。
「それでも兵は多いに越したことはない」
「だからですか」
「大友家には兵を多く持ってもらう」
「島津家に対する為に」
「今のところ当家と大友家の仲は悪くない、なら大友殿に九州即ち我等の背を守ってもらい」
 そうしてというのだ。
「当家は尼子家と戦う」
「その為にですな」
「今は、ですな」
「大友家に兵を帰して」
「戦ってもらう、そしてな」
 元就は息子達にさらに話した。
「この島は厳島大明神のおられる島、そこを戦の血と死で穢した」
「ならばですな」
「これよりですな」
「我等は」
「陶殿を含め戦で命を落とした者達を弔い」
 そしてというのだ。
「島を清めるぞ」
「わかり申した」
「そしてその後で、ですな」
「兵を安芸に戻し」
「周防と長門に兵を進める」
 そうするというのだ。
「そして二国と石見の領地の政を整えたならな」
「それよりですな」
「我等はですな」
「いよいよですな」
「尼子家と戦う」
 まさにこの家と、というのだ。
「よいな」
「わかり申した」
「それではです」
「その時が来れば」
「また言う、では今は弔いと清めじゃ」
 こう言ってだった、元就は陶も他のこの戦で命を落とした者達を敵味方を問わず弔ってそれからだった。
 島を清め厳島大社に多くの寄進をしてから安芸に戻った、そうしてすぐに義隆の仇を取ったことを天下に宣言し。
 後は義隆の遺言にあったと称して周防と長門を譲り受けるとして二国に兵を向けた。そこにいる国人達も逆らわず。
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