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戦国異伝供書
第九十九話 厳島の合戦その四

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「お主はじゃ」
「村上水軍を率いてですな」
「そして大江浦まで行ってな」
 そうしてというのだ。
「敵の退路を断つのじゃ」
「これより」
「陶家の船団で残っている者達は倒してじゃ」
「船もですな」
「全て沈めるかじゃ」 
 それかというのだ。
「燃やしてしまうのじゃ」
「そしてですな」
「陶家の軍勢が宮尾城から退けばな」
「伏兵や追い打ちで、ですな」
「倒していけ、よいな」
「わかり申した」
 隆景は確かな声で答えた。
「それでは」
「わしは太郎そして二郎と共にじゃ」
 今度は隆元と元春を見て言う。
「鼓ヶ浦からじゃ」
「回り込んで、ですな」 
 元春が鋭い目で述べた。
「そしてですな」
「陶家の軍勢を夜に後ろからな」
「攻めますな」
「そうする」 
 こう言うのだった。
「これよりな」
「そうするぞ」
「わかり申した」
「ただし船の灯りは消す」
 それはというのだ。
「宮尾城を攻めておる陶家の軍勢に気付かれぬ様にな」
「その為にですな」
「左様、それは消してな」
 そしてというのだ。
「鼓ヶ浦に向かう」
「そこまでされますか」
「何度も言うがな」
「この度の戦はですな」
「当家の全てがかかっておる」
 だからだというのだ。
「それでじゃ」
「慎重に慎重をきす」
「その為じゃ」
 まさにというのだ。
「ここはな」
「そこまでされますか」
「左様、ではよいな」
 元就はあらためて言った。
「これより進むぞ、あととにかく陶家の船はな」
「全てですな」
「沈めるか焼く」
「そうしますな」
「まさに一艘もな」  
 こう息子達に話した。
「ない様にするのじゃ」
「そして逃げられぬ様にして」
「そうしてですか」
「陶家の軍勢をですな」
「厳島でじゃ」
 この島でというのだ。
「二万の軍勢を殲滅するのじゃ」
「そうなれば」
 隆元も言った。
「もう陶家は兵がおらず」
「周防、長門は切り取り放題じゃな」
「石見の大内家いえ陶家の領地も」
「全てな、そしてな」
「大内殿の仇もですな」
「取れる」
「それは何よりです」
 ここで隆元は確かな顔で言った。
「大内殿の仇を取れるとなると」
「そうじゃな」
「だからですな」
「ここはな」
 まさにというのだ。
「そうするぞ」
「それでは」
 隆元は応えそうしてだった。
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