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自然地理ドラゴン
最終章 大魔王の夢 - 不毛の大地グレブド・ヘル -
第51話 学問の禁忌(1)
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飛んだのは、二発目の攻撃までにすでに生命力を失っていたのと、支持組織が生身ほどしっかりしていなかったためだろう。
 骨ではないが、一滴の血も流れないその体。人形のようだった。

「志の低い学者の末路だ」

 少し離れたところから首を近づけることなく、デュラはそう言った。

「これで終わりね。残念ながら私の回復魔法の出番はなし、っと」

 ティアが冗談交じりにそう言ったときだった。

「いけない! 皆さん気を付け――」

 この場にいる者たちの中で、一番早く異変を察知したアラン。
 その注意喚起も間に合わなかった。

 ティアが仰向けにバタリと倒れ、それに続いてアランも倒れた。

「え!? まだ敵が――」

 ソラトのその言葉も途切れ、二人に続き床に沈む。

 ドラゴン態のため少し離れていたシドウは、倒れた三人の体の前面に矢が刺さっているのは確認できた。
 自らの体の鱗に、矢が金属音を立てて当たっていることも。

 だが目でそれを確認してもなお、その現実が頭には入ってこなかった。
 矢がどこから飛んできたのかも確認しなかった。
 言葉にもなっていないような声がわずかに漏れ、ただただ、認めがたい三人の姿を呆然と見つめていた。

 音とともに、玉座の後ろの壁が崩れた。

 本来の壁はその後ろにあったのだ。弓矢は壁に空いていた小さな穴から撃たれたようだった。放心しているシドウにはそれも目には入らない。

 崩れた壁から、アンデッドを連れた騎士風の男が現れた。
 その男は、倒したはずのダヴィドレイとほぼ同じ容姿。やはり皮膚がくすんだ泥色をしていたが、ややその肌の質感は異なっているようだった。

「お前たちが戦ったのは、私に似ている者をアンデッド化したものだ。私がなんの準備もなくお前たちに会うとでも思ったのか?
 遠隔操作もうまくいっていた……いよいよ大魔王様復活の時は近い」

 顔に笑みを浮かべながらそう言われても、シドウは茫然自失のままだった。
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