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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第二百八十話 テストの中もその七

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「あの流れのカレーこの学園でも食べられるんだ」
「そうだったの」
「名前は大阪風カレー」
 この料理名でだ。
「メニューにあるんだ」
「そうなの」
「確かに完全に同じじゃないよ」
 やっぱりこの辺りは難しかったみたいだ。
「けれどああした感じのカレーもね」
「あるのね」
「カレー用の食堂にね」
「じゃあそれ食べるのね」
「うん」
 詩織さんに一言で答えた。
「今決めたよ」
「それじゃあ私もね」
「詩織さんもそのカレー食べるんだ」
「難波の自由軒のカレーよね」
「あれを念頭に置いて作ったカレーだよ」
「実は私あそこのカレー好きなのよ」
 僕に笑顔で言ってきた。
「だからね」
「楽しみなんだ」
「そう、そしてね」
「そして?」
「あのカレーって卵入れるわよね」
「ああ、生卵だね」
「最近そうしたカレー食べてなかったから」
 生卵を入れるカレーをというのだ。
「久し振りに食べられるってなると」
「是非になんだ」
「思って」 
 それでというのだ。
「義和がそう言うなら」
「一緒にだね」
「行かせてもらうわ」
「それじゃあね」
「あのカレーいいよね」
 大阪の自由軒のカレーを念頭に置いてだ、僕は詩織さんに答えた。あのご飯とルーを最初から完全に混ぜているカレーは。
「真ん中に生卵があってね」
「そこにおソースかけてね」
「それで生卵とカレーを混ぜ合わせるんだよね」
「そうそう、そうして食べたら」
 これがだ。
「滅茶苦茶美味しいのよね」
「そうなんだよね」
「あのカレー小説にも出てるし」
「織田作之助の夫婦善哉だね」
「あの頃からあったお店よね」
「うん、あの場所にね」
 難波にだ。
「あってね」
「織田作之助も食べたのよね」
「そうなんだ、あとね」
 僕は詩織さんにさらに話した。
「タイトルになってるね」
「夫婦善哉もよね」
「あってね」
 それでだ。
「作品にも出ているよ」
「二人で行くのよね」
「主人公二人がね」
「それで作品終わるのね」
「あっ、終わらないんだ」
 これがとだ、僕は詩織さんに答えた。
「あそこで」
「そうなの」
「主人公の内縁の旦那さん色々あってね」
 遊んでお金をすって主人公、蝶子という愛人と言うべき人に怒られたり商売をあれこれ変えたり病気になったりしてだ。
「それであのお店に主人公連れて行って」
「夫婦善哉食べてね」
「それで終わったと思ったら」
 これがだ。
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