第二百八十話 テストの中もその五
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「その為に手段は選ばん」
「選手の強奪だね」
「もう好き勝手にルールも捻じ曲げてきた」
それが巨人の歴史だ、こんなチームがずっと人気だったことが戦後日本のモラル崩壊の証明ではないだろうか。
「そうしてきた」
「それもだね」
「嫌いな理由じゃ」
巨人をというのだ。
「それも上に大が付く位な」
「それは多くの人が思ってるよ」
「そうじゃのう」
「だから今巨人はね」
弱くなったしだ。
「人気最下位でね」
「オールスターにもじゃな」
「お情けで一人位出させてもらってる位だよ」
「そうなってるのう」
「オリックスと並んでね」
このチームも毎年最下位で人気もない。
「そうなってるんだよ」
「ずっとやってきた悪事の結果じゃのう」
「本当にね」
「あんなチームはじゃ」
それこそというのだ。
「もっと負けるべきじゃけえ」
「今以上にだね」
「今は毎年百敗しちょるが」
勝率一割台でだ。
「もっとじゃ」
「負けたらいいよね」
「巨人はのう」
「何か巨人が負けると」
そうなると、とだ。僕は心から思って言った。
「景気がよくなるね」
「ああ、それな」
「そう思うよね」
「巨人が弱くなると」
それでだ。
「もうな」
「何か景気がね」
「どんどんよくなったな」
「そうだよね」
「あれか」
田中君はここでこう言った。
「皆巨人が負けるのを見てな」
「喜んでるね」
「そうなってな」
そしてというのだ。
「みんな元気が出て働いて」
「それでだね」
「景気がよくなってるんだろうな、俺だってな」
かく言う田中君もというのだ。
「頑張ってな」
「そうしてだね」
「成績上がってるしな」
「何か日本全体の学力がかなり上がってるらしいよ」
巨人が最下位街道を驀進する様になってだ、原監督みたいに優れた人が指揮者でなくなったこともあってだ。
「何でも」
「ああ、俺達学生もな」
「巨人が負けるのを見て」
それでだ。
「それだけでね」
「元気が出てだな」
「勉強頑張って」
「それでか」
「よくなってるんだよ」
「じゃああれだな」
「あれっていうと」
「巨人はここからずっと負けてな」
そしてというのだ。
「負けて負けて負け続けてな」
「最下位であり続けていたら」
「日本はどんどんよくなるな」
「うん、僕もそう思うよ」
心からこう思う。
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