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提督はBarにいる。
舌戦、舌戦、また舌戦・2
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機能を一ヶ所に纏めた内務省は日本国に復活を果たした。そして今、その巨大なビルの入り口付近にこれまた大きな人影が1つ。

「よぅ、内務大臣いる?」

「何だ貴様は!?」

 内務省の入り口を守る警備員の第一印象は『不審者』である。いきなり2m近くもありそうな大男が内務省の、それもトップが居るかと話しかけて来たのだから。

「いや〜、ちょっとばかし話があってねぇ。アポとか面倒だから取ってねぇんだけどさ」

「大臣は公人だぞ!?いきなり会おうとして会える訳がないだろう!」

 警備員は目の前の男を『不審者』から『頭のおかしい奴』に切り換えた。何せ、言っている事が無茶苦茶過ぎて、正気の沙汰とは思えなかったからだ。

「あ〜、そっかそっか。まぁいいや、俺も一応公人なんだがねぇ?」

 そう言って男が出したのは1つの手帳。黒革張りのその手帳の表紙には『日本国海軍』の文字が金で箔押しされていた。警備員が恐る恐るそれを開くと、『大将 金城零次』の名と共に、目の前の男の不機嫌そうな顔写真が写っていた。

「は……あ、ええっ!?」

 警備員が驚くのも無理はない。『南方の護りの要』『不敗の提督』『新世紀の軍神』等々、新聞やニュース等の見出しを飾る有名な猛将。テレビ等の画面を通して知っていた存在が目の前にフラリと現れたのだから、現実感が伴わないのも当然だろう。

「あ〜、悪いんだが確認取って貰えねぇかな?『海軍の金城が大臣に会いに来た』ってさぁ」

「は……ハッ!少々お待ちを!」

 警備員は肩から提げた無線機で、何処かへ通話を始めた。その慌てた様子に苦笑いを浮かべる提督。提督の方は落ち着いたもので、胸ポケットから煙草を取り出して1本咥えて火を点けた。そうしてぷかりぷかりとふかしながら、警備員の応答を待っていた。そうして待たされる事20分、提督の吸った煙草が8本を超えようかと言う頃に漸く応答があった。

「大将殿、内務大臣がお会いになるそうです。今迎えの者が……」

「あ〜、そういうの良いから。ガキでもあるまいし、道案内なんぞ付けなくても辿り着けるさ」

 そう言い残してのっそりと内務省の庁舎ビルへと歩を進めていく。その姿をポカンと眺めていた警備員は、後から『サインでも貰えば良かった』と悔しがったと言う。




「しっかし、でけぇビルだなぁ」

 初めて入った内務省の庁舎を、興味深げに眺めながらゆっくりと歩を進めていく提督。目指すはビルの中央を通るエレベーターホール。事前の下調べで大臣の執務室は最上階にあると知っていたので、特に迷いはない。やがてエレベーターホールに到着すると、丁度上へ向かうエレベーターが1階まで降りてきていた。

「はいはい、ちょっとご免なさいよっと」

 そこに滑り込む形で
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