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ペンテウスへの仕返し
第五章

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「そしてね」
「歌って踊ってですか」
「そうして騒いで」
「男達と交わる」
「そうさせているのですね」
「遊んでしかも」
 さらにというのだ。
「そこから結ばれる相手が見付かって子供が生まれるならいいじゃないか」
「だからですね」
「女達を遊ばせている」
「左様ですね」
「そしてテーバイ王もね」
 そのペンテウスもというのだ。
「たまにはああしていいんだ、というか彼は女の話もないね」
「日々働いていますからね」
「夜は疲れ切って寝ているだけだとか」
「王の職務と学問、武芸で毎日疲れて」
「そして寝るだけだとか」
「それがいい筈がない、だから彼に悪戯を仕掛けたんだ」
 その様にしたというのだ。
「いいね、今日は彼をここでゆっくりさせよう」
「今は床で女達と交わっているでしょう」
「酒に飲まれて」
「それに任させますか」
「葡萄酒は割っていないよ」
 本来なら水等で割って飲むがというのだ、古代ギリシアから長きに渡って葡萄酒はそうして飲むものだったのだ。
「そのまま出したよ」
「そうでしたか」
「割らずにですか」
「そうしてですか」
「飲んでもらったし」
 水を変えたそれをというのだ。
「だからね」
「余計にですね」
「酔っていますね」
「テーバイ王は」
「左様、そのままの酒をふんだんに飲ませた」
 そうしたというのだ。
「ならね」
「尚更ですか」
「酒に酔っていて」
「乱れている」
「そうなりましたか」
「そこに多くの女の子達を寝室に用意させたんだよ」
 それならというのだ。
「だからね」
「もうですか」
「テーバイ王は今頃ですか」
「自身の叔母や母と同じくですか」
「乱痴気騒ぎですか」
「朝が楽しみだよ」
 こう言ってだ、ディオニュソスは自分も飲み従神達にも勧め共に飲んで夜は明日が楽しみだと言って寝た、そして。
 朝起きるとすぐに沐浴の場で身体を清めた、すると。
 従神の一人が彼のところに来て言ってきた。
「テーバイ王がです」
「起きたかな」
「起きたは起きたのですが」
 それでもという口調での言葉だった。
「しかし」
「それでもだね」
「しこたま飲んだので」
 割っていない葡萄酒、それをというのだ。
「それで、です」
「二日酔いだね」
「それで苦しんでいます」
「ならここに連れて来るといいよ」
 ディオニュソスは明るく笑って従神に述べた。
「沐浴の場にね」
「あっ、そうしてですね」
「お風呂でね」 
 それで、というのだ。
「頭をすっきりさせるといいよ」
「そういうことですね」
「うん、じゃあいいね」
「はい、それでは」
「早速ね」
 こう言ってそうしてだった。
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