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竜のもうひとつの瞳
第六十二話
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こには恰幅の良いおじさんが座っており、落ち込んでるのが丸分かりなくらい肩を落として溜息を吐いていた。

 不思議な形の兜に蒼い甲冑……この後姿に見覚えがある。
っていうか、忘れることなんて出来やしない。だってこの人は。

 「あ、あなたは!」

 私の声に振り向いたそのおじさんもまた、私の姿を見て驚いたように目を丸くしていた。

 「貴女は……あの時の!」

 そう、そのおじさんはザビー教に監禁されていた時に救い出してくれた、命の恩人だった。

 いや〜……世間って狭いもんだわね。こんなところであの時のおじさんにばったり出会っちゃうだなんて。
でも流石に感動のご対面、なんて訳には行かなくて簡単にしか御礼が述べられないまま出発することになってしまった。
今度、改めてお礼を言いに行こう。小十郎が作った野菜でも持ってさ。
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