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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第42話 勇美、空へ
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 永江衣玖から比那名居天子の自分への招待状を受け取った勇美であったが、そこで彼女は思い悩んでいた。
「う〜む……」
 腕を組み唸る勇美。そんな勇美に依姫は聞く。
「勇美、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもありませんよ」
 依姫にそう聞かれて勇美は答えを言う。
「天界への行き方ですよ」
 それが揺るぎない事実であった。何故なら勇美は多くの幻想少女のようには空を飛ぶという便利な事は出来ないのだから。
 だが、そう言われても依姫は至極落ち着いていた。
「それなら問題ないわ」
「それってどういう……?」
 どういう事と言おうとした勇美はここではっと閃いた。
 そう、こういう時に都合の良すぎる存在がいた事を思い出したのだ。
「あ、あの人ですね♪」
「そういう事よ」
 二人はそこで微笑み合った。
 そして、タイミングが良すぎる事とはあるものだ。今しがた二人が意識していた者の訪問があるのだった。
「依姫、勇美ちゃんお久しぶり〜♪」
 やや気の抜けたような喋り方をする、その者は。
「お姉様」
「豊姫さん♪」
 そう、瞬間移動のような誰もが羨む能力の持ち主、綿月豊姫そのものであった。
 ちなみに彼女は今回も勇美のリクエストで着た白のノースリーブワンピースにケープというフェティシズム全開の服装であった。
「というかお姉様、まだその服着てるのですか?」
「そういう依姫だって、ずっと巫女装束着てるじゃないの♪」
「確かに……」
 そこで依姫はそれ以上反論するのを止めたのだ。
 豊姫の言う通りだったからだ。習慣になるというものは恐ろしいなと依姫は痛感するのだった。
 そんな状況の中、勇美は悪ノリをして見せる。
「豊姫さん、いつ見てもそのお召し物素敵です」
「ありがとう、勇美ちゃん」
「なので、素敵ついでに腋見せて下さい」
 そんな突拍子もない発言に一瞬空気が凍り付いたような雰囲気になる。
 だが、それもすぐに打ち破られる事となる。
「こんなもので良ければいくらでもどうぞ、はいっ♪」
 そう言って豊姫は惜しげもなくケープを捲り上げ、その中の腕の付け根を披露してみせる。
「うん、いい眺め♪」
 勇美は夕日を堪能する時のように感慨深い気持ちでしみじみと呟く。
 依姫はこの倒錯した空間に指摘をする価値はあるのかと言う葛藤に苛まれるが、敢えて進言をする事に決めたようだ。
「勇美、人の姉に何させてるのよ。そしてお姉様も何乗り気でそんな事してるのですか」
 そんななけなしの勇気を見せた依姫に、姉は非情な現実を突き付ける。
「あら依姫、ノースリーブは腋を見せる為にあるようなものよ♪」
「それはノースリーブに対する偏見です」
 豊姫の理屈に、依姫は屈せずに、ノースリーブの名誉の為に戦った。
 そんな妹に対して、
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