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戦国異伝供書
第九十五話 負け戦その二

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「これではな」
「勝てませんな」
「陶殿は策を使うおつもりはないです」
「だからですな」
「敵は新宮党もおる」
 尼子家の精鋭である彼等もというのだ。
「それでじゃ」
「敵も強い」
「だからですな」
「尚更ですな」
「攻められぬ」
「そうなりますな」
「そうじゃ、だからじゃ」 
 それ故にというのだ。
「この戦はな」
「負けますか」
「攻めきれず」
「そうなってしまいますな」
「そうじゃ、それでじゃ」
 だからだというのだ。
「攻めあぐねる、そうなればどうなる」
「はい」
 ここで言ったのは桂だった。
「今は従っていますが」
「尼子家から寝返った国人達がな」
「まさにですな」
「頃合いを見るかな」
「尼子家からの話を聞いて」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「尼子家に寝返る」
「そうなりますな」
「あの者達から見れば戻る」
 その国人達から見ればというのだ。
「そうなる」
「左様ですな」
「そうなればじゃ」
「もう、ですな」
「我等は乱れてな」
 そうなってというのだ。
「そしてな」
「敗れますな」
「その時こそな、だからな」
 元就はさらに言った。
「敗れる、だからな」
「ここで、ですな」
「我等は戦ってもな」
 それでもというのだ。
「敗れる、だからな」
「それでは」
「いざという時はわしに任せてくれるか」
 こう言うのだった。
「よいな」
「はい、それでは」
「敗れるにしてもな」
 このことが最早明らかでもというのだ。
「生きねばならぬしな」
「利もですな」
「得ねばならん、だからな」
 それ故にというのだ。
「任せてくれるな」
「さすれば」
「では我等も攻めよう」
 こう言って元就も城攻めに加わった、だが彼が見ていた通り実際に城は攻め落とせず日ばかりが経ち。
 そしてだ、遂にだった。
 大内家の軍勢に異変があった、それは。
「何っ、国人達がか」
「はい、どうやらです」
「尼子家の方に寝返りました」
「それも次々とです」
「ここに来て」
 陶に旗本達が次々に言う。
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