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星河の覇皇
第七十五部第二章 開戦直前その十四
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「絶対に陥落しない要塞はないな」
「古来より」
「絶対に陥落させられない要塞なぞなく」
「絶対に沈まない艦もないですね」
「この世で絶対のものは唯一だからな」
「アッラーのみ」
「あの超巨大戦艦もだ」
 ゾロアスター級もというのだ。
「沈めることは出来る」
「不沈戦艦ではないですね」
「決してな」
 そうだというのだ。
「一隻でサハラのどの要塞よりも強大だが」
「それでも不沈ではない」
「何度も言うが有り得ないのだ」
 絶対に沈まない船なぞというのだ。
「絶対はアッラーだけなのだからな」
「そしてもっと言えば実は」
「ティムールの防衛ラインもだ」
 その堅固なそれもというのだ。
「軍司令達とも話したが」
「突破は不可能ではないですね」
「ただ我が軍では出来ないだけだ」
 絶対ではないにしてもというのだ。
「それだけのことだ」
「そういうことですね」
「あの防衛ラインは実によく考えられている」
「憎らしいまでに堅固ですね」
「しかも柔軟だ」
 ただ堅固なだけでなく、というのだ。
「鋼鉄とゴムを併せたかの様な」
「そうした堅固さですね」
「実にな、だからな」
「あの防衛ラインは攻めない」
「閣下とシャイターン主席の戦いにですか」
「専念する、何度も戦うことになるか」
 そのシャイターンと、というのだ。
「そうして将兵を消耗するか」
「何度も戦う中で」
「そうなるかも知れない、しかし」
「それでもですね」
「私は戦い敗れはしない」
 決して、とだ。アッディーンはガルシャースプにもこう言った。
「大きく勝つことは出来ないがな」
「敗れないことはですね」
「出来る」
 そちらはというのだ。
「それならばな」
「負けない戦争ですか」
「一つ一つの会戦でな、勝っても六分かよくて七分か」
 こうも言ったのだった。
「それが出来てもな」
「六分、七分ですか」
「八分はまずない」
「戦いを十に分けてですね」
「それ位か」
 シャイターンに勝ててもというのだ。
「あの国にはな」
「それだけ強いということであり」
「七分もないだろう」
 八分はまずなく、というのだ。
「六分にいけばな」
「いいですか」
「そう思う」
 自分の考えをこう訂正もした、シャイターンの将としての資質を考えればというのである。
「まるで武田信玄だな」
「日本の戦国大名ですね」
「そうだ、戦史で学んだ」
 士官学校においてだ、幼年学校ではこの人物のことは学んでいなかった。
「戦いは完全な勝利を最善とせずな」
「私も習いました」
 ガルシャースプも言ってきた。
「武田信玄、そして上杉謙信のことは」
「善獄時代の日本のことはな」
「織田信長と共に」 
 戦国の世を終わ
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