暁 〜小説投稿サイト〜
性暴力が星を滅ぼす
第5話 いつか見た未来
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とまで吐露した。ただ、それで何か楽になったわけじゃないが。私の中に芽生えたのは疑問だ。
「ねえ、聞きたいことがあるんだけど」
「回答できることなら話そう」
「私がこんなにも包み隠さず話したんだよ。あなたのことも聞かせてよ。年齢は? 結婚はしてるの? この調査が仕事なの?」
 彼は地球の価値観に置き換えつつ説明してくれた。歳は地球人でいえば三十歳くらい。パートナーに相当する相手はおらず、また彼らの星に婚姻という制度はないらしい。調査員の仕事は臨時だと言っていた。それと趣味は旅行だという。
「銀河を越えた宇宙旅行が仕事でできるなんて、羨ましいことで。こっちはスペインにも行ったことないのに」と私はとぼけながら言う。すべてがピンとくるようで、ちっとも腑に落ちない。変な感覚だ。
「楽しいものじゃないよ。義務で来てるからね」
「帰るまでに時間があったら観光でもすれば? 映画で私たちの文化を調べたみたいだけど、せっかくだから本場の映画館も行ってみて。でも、猿は入れないか」
 いつしか、私は被害に遭う前に持っていた万能感にも似た、遠慮のなさで振舞っていた。
「犯罪率がどうのって、なんか一歩引いた研究者みたいな物言いしてるけど、あなた自身はどうなの? こんなこと、人間の男の人には絶対聞けないけどさ、あなた異星人だし、見た目は猿だから聞くよ。あなたは異性を、その、傷つけるようなことをした経験はあるの?」と私は言った。こんなことを聞いてしまうなんて、自分はどうかしている。本当にそんなことを知りたいのか? こんな会話を望んでいるのか?
 私の質問を聞いた猿、いや彼は黙った。体の揺れもない。まるで置物だ。
「ごめんなさい。よくないよね、こんな質問。地球だったらハラスメントだよ。私ったら、おかしいみたい。答えないで」
「やりかけたことはある」
「え?」
「聴き取れなかったか? やりかけたことはある」
 今度は私が固まった。彼からはマネキンに見えているだろう。カカシかもしれない。
「ちょっと待って。何言ってんの?」
「正直に答えたまでだ。気を悪くしたなら謝る」
「は? え、何? 『やりかけた』?」
 いったい、この猿は何を言っているんだ? この獣が口走ったことが理解できなかった。体が燃え上がる。
「『やりかけた』? なにそれ? 未遂と既遂で違うっていうわけ? 被害者からしたら違いなんてないよ! 入れたか、入れてないか? それで罪悪感に違いがあるの? 吐き気がする。いいかげんにして。私たちのことを幼いなんて言ってるけど、あんたたちだって同レベルだよ。勝手に互いを犯し合って、殺し合って、滅びればいい!」
 いまも覚えている。私を襲った連中の内、一人は裁判で言い放った。「でも、おれは入れてないよ」と。いまでも一言一句忘れない。全員許せないが、あいつのあ
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