暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝供書
第九十四話 負け戦を見据えその七

[8]前話 [2]次話
「そこも考えていくぞ」
「わかりました」
「それではですな」
「この戦の先も見据えて」
「そのうえで」
「今は戦うぞ、瀬戸山城も攻めるが」
 尼子家のこの城もというのだ。
「わしとしてはな」
「あの城を攻め落とせば」
「それで、ですか」
「戦を止めて」
「終えるべきですな」
「それが頃合いじゃ」
 この戦のというのだ。
「そこで瀬戸山城を攻め落とせば」
「それで、ですか」
「大内殿に言われますか」
「再び」
「そうしてみるか」
 元就はこう言ってだった、進軍する大内家の中にあり続けた。確かに大内家の軍勢は膨れ上がる一方で士気も高いが。
 もう勝った気持ちでいる、それで元就は家臣達にまた言った。
「奢りが見られてきたのう」
「軍勢の中に」
「もう勝った気でいる」
「そうなっていますな」
「うむ、まだ戦は続いておるというのに」
 それでもというのだ。
「既にじゃ」
「勝ったつもりになっていて」
「それで油断が生じている」
「そうした状況ですな」
「だからじゃ」
 それ故にというのだ。
「今は余計に危うい」
「左様ですな」
「では、ですな」
「若しここで夜討ち等を受けると」
「危ういですな」
「この状況で攻められるとな」
 まさにというのだ。
「そうなる、だが今攻めるよりもな」
「それよりもですか」
「尼子家は今攻めるよりもですか」
「よい攻め時がありますか」
「それは月山富田城を攻める時じゃ」
 大内家がというのだ。
「敵をうんと引き付けいよいよ攻める」
「その時こそですか」
「攻め時ですか」
「そうなのですか」
「だからな」
 それでというのだ。
「今は夜討ちもないであろう、しかしな」
「月山富田城を攻める」
「その時になれば」
「尼子家は攻めてきますか」
「驕る軍勢に」
「そうしてくるであろう、慢心した軍は脆い」
 実にというのだ。
「周りが見えなくなっておるからな」
「だからですな」
「攻められると崩れる」
「それも容易に」
「そうなるわ」
 まさにというのだ。
「しかもここぞという時にこそな」
「それが出る」
「この場合月山富田城を攻める」
「その時にですな」
「出てな」
 そしてというのだ。
「付け込まれる」
「そのうえで敗れる」
「ではその時にですか」
「我等はどうするか」
「敵の本城を攻めて敗れればどうなるか」
 その場合はというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ