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曇天に哭く修羅
第三部
主義主張
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崩に熱が生じ会場の雰囲気が変わる。


「凜音ちゃんには辛いものになるだろうけど最後まで見てやってほしい」


聖持が優しく声を掛けた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「佐々木に聞きたいんだけどさ。お前、凜音が誘拐されたことは知ってたのか? お前に助けてほしかったみたいだぞ」

「捨てたもののことなんて知ったことじゃない。それに今のぼくは佐々木青獅じゃなくて九月院瞬崩だって言わなかったっけ?」


瞬崩の言い様に対して一段と怒りが湧いた紫闇は闘争意欲が高まった。

左足を前に。

右足を後ろに。

左手は脱力して下げておき、右手は顎の下へと持っていく。


「黒鋼流・【四形ノ一《青龍》】」

「やっぱり良いなあぁ。お前と戦うのに余計なものは要らない」


瞬崩は全身の力を抜いた。

両腕を下げていく。

槍の穂先は地に着く寸前。


「動かざること山の如く」


瞬崩が放つ重い圧力に紫闇は心臓の鼓動を高鳴らせ胃を痛くした。

恐怖で冷や汗が止まらない。

それほどの好敵手なのに以前と同じで物足りなさを感じてしまう。


(ちょっと前までは解らなかった。何で強くなった佐々木をそんな風に思うのか)


でも今は解る。

『人との繋がり』を捨てたから。

今でも別の紫闇なら人との繋がりを『そんなもの』と言うに違いない。

強さに直結することは無いと。


「佐々木。お前に届かないことは解ってるがやっぱり言わせてもらう。お前は半分正しくて半分は間違ってるってな。前へ進む為に何かを捨て続けなきゃならないのかもしれないが本当に大切なもの、人との繋がりは絶対に捨てちゃあならないんだよ。そいつをこの勝負で解らせてやる」

「下らない不純物が混じったようだね立華。ぼく達みたいな奴は強くなることを求めるべきだ。純粋にね。ただ勝利を望み、他の全てを捨てる。でなきゃさ、濁る。闘争に対する姿勢と感情が。この二つが澄みきって純度の高い奴こそ最も強い。それを教えてやる」

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