暁 〜小説投稿サイト〜
曇天に哭く修羅
第三部
憎まれて

[8]前話 前書き [1]後書き [2]次話
《白鋼水明/しろがねすいめい》を残して奥に進むと部屋が在り、その中央に置かれたベッドの上に《佐々木凜音》が居た。


「立華さん……来ないで下さい」

「トラップでも有るのか?」


紫闇はキョロキョロする。


「白鋼さんと戦いましたよね?」

「危うく死にかけた」

「残念でしたね。だってどれだけ頑張ってもわたしは貴方を好きになれない」

「どういうことだ?」

「初めて会ったのは偶然です。けどその次は狂伯さんに貴方と会う方法を教えてもらって自分から貴方に会いに行った」


凜音は《九月院瞬崩》を、自分の兄である《佐々木青獅》を倒した人間のことを理解した上で深く憎みたかったらしい。


「折角お母さんの病気が治ったのにおにいちゃんに捨てられて訳が解りませんでした。自殺しようとも思いました」


けど恐くて死ねない。

ならば生きようと思った。

しかし生きる為の原動力が無い。


「狂伯さんにはおにいちゃんに勝って今の状況になる原因を作った貴方を恨んでみたらと言われました。実際少し楽になりました。けど……」


凜音にとって紫闇は良い人で、不愉快なところが無くて、優しくて格好良かった。

今も怒気すら見せない。

憎める人だったらどれだけ良かったか。


「凜音。俺はお前の心を救う。憎んでくれて良い。佐々木の奴がああなったのは俺の責任だ。だから二人の関係を元に戻す」


紫闇は青獅に凜音が教えてくれた、『人との繋がり』だけは捨ててはいけないということを解らせる為にその場を後にする。

水明のところまで戻ると彼女と共に幼馴染みの《的場聖持》が待っていた。


「凜音ちゃんは俺が連れてく。紫闇はこの女を連れてスタジアムに。まだ龍帝(うち)の会長が頑張ってくれてるだろうから」


水明は紫闇の後を着いていく。


「ちょっと遅れたな。けど無事ってことはレイアさんが上手くやってくれたんだろ。でなきゃ紫闇がぴんぴんしてるわきゃないし」


聖持は疲れた顔になる。


「凜音ちゃんとこ行こ」

[8]前話 前書き [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ