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提督はBarにいる。
提督と早霜のこっそり賄いメシ・1
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かけて食べるとか」

「成る程……」

 そう言いながら早霜が手帳を取り出し、何やらメモを取っている。

「ん?何をメモしてんだ?」

「あぁ、いえ!これは、そのぅ……」

「何だ何だ、俺の飯の品評でも書いてあるのか?」

「ち、違いますっ!これは、私でも簡単に作れそうなレシピを個人的に纏めた物です」

 早霜は、真っ赤になって俯きがちにそう言った。




「わ、私の将来の夢は前にお話ししましたよね?」

「あぁ。軍を辞めたら個人的にバーを開きたい……だったか?」

「そうです。そのお店の理想形がこのお店なんです」

「……そうか」

 ぶっきらぼうに返しちまったが、正直凄く嬉しい。嬉しいんだが……それ以上に、照れ臭い。

「ですが、私はあまり料理が得意ではないので……ですから、司令の作る料理の中でも簡単に作れそうなレシピを残しておこうと」

「成る程ねぇ……でも、作り方とかちゃんと解らねぇ部分とかあったろう?」

「そこは……提督がどんな動きをしていたかを、夕雲姉さんや間宮さん、鳳翔さん等に説明して何をしていたのか尋ねていました」

「はぁ」

 思わず溜め息が漏れた。涙ぐましい努力過ぎるっつの。俺は厨房の戸棚のスミに押し込んであった大学ノートの束を、ボンと早霜の目の前に出してやる。

「店長、これは……?」

「レシピノートだ」

 俺は意外とマメな性分でな。作った料理はノートに分量やら作り方を細かく残してあるんだ。まぁ、もしもガキでも出来て、そいつが料理好きだったら親父の味を引き継がせるのもいいかと思って溜め込んでいたんだが……まぁ、写すだけならいいだろう。

「い、いいんですか?」

「おう、ただし持ち出し禁止。読んだり写したりはここだけにしろよ?」

「はい!」

「それと、賄いが冷めちまうからとっとと食え」

「あっ、は、はい」

 慌てたように早霜がガツガツと食べ始めた。丁度その頃、カウンターの端で寝入っていた奴もモゾモゾと動き始めた。

「よう、よく眠れたか?」

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