第五百九十話 王が王は
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第五百九十話 王が王は
サラディンさんは敵軍エルサレムを領地に持っているその敵を見事に破って多くの捕虜を得ましたが。
その中に敵の上司の人もいましたがサラディンさんはエジプトに言いました。
「王が王を殺すという話は聞いたことがない」
「それで」
「はい、王に相応しい対応をする」
こうエジプトに言います。
「異教徒であっても」
「そうか」
「暑い中での戦いだった」
しかもお水はなく火攻めにしました。
「ならだ」
「それなら」
「喉を潤してもらおう」
「じゃあお水を」
「薔薇の香りを入れて氷を入れたものだ」
只のお水でなくです。
「それを飲んでもらおう」
「お水の中でも最高のものを」
「そうする」
「異教徒の上司にそこまでするなんて」
エジプトは無表情です、ですがその度量に思わず息を呑みました、こうするところがサラディンさんでした。
第五百九十話 完
2020・7・2
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