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曇天に哭く修羅
第三部
不完全な急行
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るという。

エレベーターのスイッチを特定の順番で押すことによって公的には存在しない秘密の地下エリアに辿り着けるらしい。

特に変わったものは無く広々としており対人戦がし易そうな環境が整っている。

長い通路を道なりに進む紫闇。

トラップなども無かったのだが……。


「!?」


凍り付いたように動きを止めた。

正体の解らない寒気に全身が震え出す。

紫闇は覚えが有る。

青獅と初めて戦った時。

そして黒鋼焔と組み手した時。


「つまり現在(いま)の俺より遥かに強い何か」


とんでもない奴が潜んでいる。

恐怖しているのに足が止まらない。

彼の『鬼』が戦いたがっているのだ。

本能に逆らい歩が進む。

その果てに怪物の姿が映った。


「女の子……?」


永遠(とわ)レイア》を彷彿(ほうふつ)とさせる。

髪・肌・爪・靴・チャイナドレス。

どれもこれも全てが真っ白。

目だけは灰色に濁っていた。


「アタシは盲目だが気にするナ。オマエなんかよりずっと()えている。立華紫闇だろ? 『氣』の流れがおかしいからな」


紫闇は驚きで動けない。

あまりに焔と似ていたから。

だが親近感は無かった。

プログラムされた通りの感情を顔に出しているだけで人の形をした無機物。

温かみなど感じられない。


「佐々木凜音はここに居るヨ? アタシを殺せたら会えるから頑張りナ」

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