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おぢばにおかえり
第五十九話 先輩と神戸でその七

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「あるわよ」
「そうなんですか」
「そうよ、私なんてね」
 やっぱり寂しい笑顔でした、とても奇麗なお顔がそうなるのは見ていて悲しいものでした。
「酷い娘だから」
「よくそう言われますけれど」
「人はね、誰だって悪い一面があってね」
「悪人になったりもしますか」
「一番怖いのは自分が絶対に正しい、相手が絶対に悪いって思って」
 そしてというのです。
「やっつけてやるとかね」
「思った時ですか」
「その時人は何処までも残酷になれるのよ」
「残酷に、ですか」
「その時が一番怖いのよ」
 こう私に言ってくれました。
「本当にね」
「そのことはやっぱり」
「私は高校一年の時でね」
「その時先輩は自分が絶対に正しいって、ですか」
「思ってね、相手の子を物凄く悪い人って思って」
「徹底的にだったんですか」
「怒鳴って意地悪してね」
 私が知らない先輩の姿でした、いつも優しくて穏やかな先輩がそんなことをされるなんて想像出来ないです。
「それで後で三年の人がそのことを知って」
「怒られたんですか」
「凄くね、自分がされたらどうかって」
 そうしたことをというのです。
「私が誘って一緒にやった他の娘達も怒られて相手の子が告白した娘もね」
「先輩は告白されてないんですね」
「ともちゃんがね」
「佐野先輩ですか」
 ともちゃんというのは佐野先輩の仇名です、下のお名前からです。
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