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飼い猫の友達
第三章
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「あの子」
「そうかも」
「ツシマヤマネコって天然記念物よ」
 絵里が言って来た。
「こんな街中にいるとか」
「ないんじゃ」
「いや、若しそうだったら大変だから」
 それでとだ、春香は妹達に言った。もう三人共読書やゲームどころでは完全になくなってしまっていた。
「保護しよう」
「お庭に出て」
「そうして」
「アルセウスは脱走しない様にして」 
 この時もこのことが注意されてだった。
 凜がアルセウスを持って姉達に言った。
「おもちゃか餌でその猫ちゃん引き寄せてね」
「その隙にね」
「捕まえるのね」
「そうしよう」
 こう話してだった。
 脱走が心配されるアルセウスは凜が持った、そうしてだった。
 春香が餌を出して猫用のおもちゃを振ると庭の猫は少しずつ春香の方に近寄った。そうして餌を食べておもちゃに前足を必死に出している間に。
 絵里が捕まえた、すると三人はすぐに獣医にその猫を連れて行って見てもらうとすぐに驚きの声で言われた。
「これはツシマヤマネコだよ」
「やっぱり」
「まさかと思ったら」
「そうでしたか」
「お家のお庭にいたとのことですが」
 獣医は姉妹に言われたことを話した。
「街にいたことは凄いですね」
「あの、それで」
 絵里が獣医にここで聞いた。
「その子どうなるんですか?」
「物凄く貴重な生きものですから」
 だからだというのだ。
「大切に保護されます」
「そうですか」
「動物園なりで飼育されるかと」
 そうなるというのだ。
「あと街にどうしてツシマヤマネコがいたか」
「そのこともですか」
「調べられると思います」 
 実際にこの件はネットでもマスコミでも話題になり何故街にツシマヤマネコがいたのかと様々な研究と議論が為された。だが。
 姉妹にはわからないことでそのことはもう三人にも両親にも他人事になっていた。だがそれでもだった。
 春香は家で腕を組んで言った。
「アルセウスの友達だったみたいだけれど」
「まさか天然記念物と友達とかね」
 絵里も言う。
「思わなかったわね」
「ここは対馬でも」
 それでもとだ、凜も言った。
「凄いことよね」
「ええ、野良猫といってもね」
 それでもとだ、春香はまた言った。
「何があるかわからないわね」
「そうね、そう思うとアルセウスもね」
 絵里はまた言った。
「わからないわね」
「そうよね、只の元野良でも何があるかわからない」
 凜はこうも言った。
「それが猫ね」
「人もそうだけれど」
 春香はそのアルセウスを見つつ言った、今彼は部屋の隅で猫を食べているが三人が自分の方を見ていることに気付いてどうかという顔で鳴いた。
「ニャン?」
「猫もわからないものね」
 春香はそのアルセウスを見つつ
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