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神機楼戦記オクトメディウム
第14話 泉美の初陣と、神聖なる拳の者:前編
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ら。大邪の邪魔になる者は排除しなければなりません」
 その言葉を、高嶺は本心から申し訳なさそうに、それでいて自身の拳の扱いと同じ『刃物』のように鋭さを持たせて言うのであった。
「やはりそうですか……」
 高嶺の揺るがぬ意思を目の当たりにした泉美は、暫し逡巡する素振りを見せる。
 この後一体彼女が何を言うか大体の予想がついてしまった千影は、すかさず泉美に声を。
「泉美さ──」
「高嶺さん、千影さんを狙うのなら、まず私と戦って下さい」
 掛ける前に本人によって遮られてしまうのであった。
 当然これには千影は手放しには賛同出来ないだろう。
「泉美! 敵の狙いは私よ。だからあなたは……」
「千影さん、これは私なりのけじめですから、どうか止めないで欲しいわ」
 そう言って泉美は千影に頭を垂れるのであった。その真摯な態度に、千影も言葉を詰まらせる。
 その状態の千影に対して、泉美は畳み掛けるように言葉を続けていった。
「例え邪神が集めた集団でも、そこには絆とか秩序のようなものが確かにあったわ。そこを私は抜け駆けして離脱してしまったのよ。だから、この場の戦いは私に任せて欲しいの」
「……」
 そう続けざまにまくし立てられては、千影とて引く事は難しいだろう。故に、彼女はこの場は折れる事にしたのであった。
「……分かったわ、泉美。でも、無茶はしないようにね。それに、かつての同志と戦うのだから、戦い辛いでしょうから、もしきつかったらいつでも私と交代しなさい」
「ありがとう、千影さん」
 自分の初の戦場となる背後には、今でも憧れの女性がいるのだ。これ程心強い事はないだろう。
 だが、泉美はその状況に甘んじる気持ちはなかったのだ。これは自分の戦い故に、何かに甘えてはいけないのだから。
「話は決まったようですね」
 そこへ、高嶺から言葉が掛かってくるのであった。
「ええ、高嶺さん。私と戦って下さい」
 これで引き返せなくなった泉美は、ここで覚悟を決めて高嶺に自分の意思を示したのだ。

◇ ◇ ◇

 これからいよいよ泉美の『元同志』との戦いが始まる訳だが、当然そのまま戦う訳にはいかないだろう。
 何せ、対戦カードは心身を磨き抜かれたプロボクサーと、一介の女子高生なのだから。こんなのはまともな戦いではなく、単なる婦女暴行という犯罪行為になってしまうだろう。
 なので、その事を自身の力の強い方である高嶺が触れてくるのであった。
「では、これから戦いを始めますが、八雲さん。『神機楼』を出して下さい」
 そう、常にフェアな条件で戦う事を好むボクサーらしい、彼からの提案だった。
 当然その提案に泉美は乗るのであった。乗らないと事が進まないのだから。
 その事に感謝しながら、泉美はいよいよを以って未だ繰り出していない自身の神機楼の
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