第五百五十八話 ヒロポンは
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第五百五十八話 ヒロポンは
イタリアは日本にしみじみとして言いました。
「織田作さんヒロポン打っていたっていうけれど」
「覚醒剤ですね」
日本はすぐに答えました。
「それを打っていました」
「そうだったね」
「当時は合法でしたから」
「打つことは問題じゃなかったね」
「結核でして」
この病気が死因にもなっています。
「それで疲れ切ったお身体に鞭打つ為に」
「ヒロポン打っていたんだ」
「そして書き続けました」
「凄いね」
「そうして書いた作品がです」
「今も残っているんだね」
「左様です」
日本はイタリアに沈痛なお顔でお話しました。
「終戦直後の作品は特にです」
「ヒロポン打ちながら書いたんだ」
「そうした作品なのです」
織田作之助の作品にはそうした背景があります、とにかく書く為に必死にヒロポンを打っていたのです。
第五百五十八話 完
2020・6・16
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