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俺様勇者と武闘家日記
第1部
アッサラーム〜イシス
眠らない町
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 お昼を済ませたあと、残りの仕事を全て片付けた私たちは、ビビアンさんと座長さんから報酬をもらい、関わった劇場の人たちに挨拶を済ませ、劇場の入り口で一時解散することとなった。
 久々に慣れない仕事に携わったからか、魔物を相手にするときより疲労感が強い。外に出て辺りを仰ぎ見ると、夕日が町全体を赤く染め上げていた。けれど、日が傾き始めても相変わらずこの辺り一帯は暖かい。
 私はユウリと一緒に、町でも特にお店が立ち並ぶという商店街へと向かった。
  道すがら、いくつもの露店商が並ぶ通りに出た。魔物の蔓延るご時世とはいえ、人の購買意欲というのはそう変わらないらしく、どのお店も人が並んでおり賑わいを見せている。
 お店の人に気づかれない程度にちらりと品物を見てみると、食べ歩き出来そうな美味しそうな食べ物、女の子なら一度はつけてみたいアクセサリー、一見なんだかわからないアイテムなど、その品揃えは多種多様だった。
「うわあ、こんなにたくさんお店見たの初めてだよ!」
 私はあまりのお店と商品の多さに、はしゃいでいた。
 そしてユウリがいるのを忘れて、ついふらふらと近くにあった露店に足を踏み入れる。
 そこには女性向けのキラキラした宝石やシンプルな銀細工など、様々なデザインのアクセサリーが置いてあり、私は思わず感嘆の声を上げた。
「すごいなあ、こんな細かい細工、どうやったらできるんだろう」
 じーっと眺めていると、ユウリが後ろから声をかけてきた。
「なんだ、お前でもこういうのが欲しいのか?」
 皮肉交じりに言い放つが、今の私は別のことを考えていた。
「いや、欲しいっていうか、どういう風に作るのかなって思って」
 そういうとユウリは、不思議なものを見るかのような顔をした。
「職人にでもなる気か?」
 職人か。そういうのもいいかもしれない。もともと実家では、きょうだいの洋服や小物などを古着や余った布で作っていたので、自分が身に付けるより作る方に興味が湧いてしまうのだ。
「う〜ん、魔王を退治したら、自分で工房でも開こうかな」
 などと言っていたら、後ろで吹き出す音が聞こえたので、私は思わず振り向く。
「今のって、もしかしてユウリ?」
「……お前が笑わせるようなことを言うからだ」
 一見平然としているが、口を抑えて必死に笑いをこらえているユウリ。いや、笑わせるつもりなんて微塵もなかったんだけど。でも、あの仏頂面を極めたユウリが笑うなんて初めて見たし、深く考えないでおこう。
  あんまりじっと見てると機嫌が悪くなりそうなので、視線を外し、他にもお店がないか辺りを見回してみる。
 すると、ちょうど小腹がすいていたからか、いつの間にか
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